所得動向:賃金・給与の伸びが鈍化
個人所得の内訳をみると、賃金・給与が前月比横這い(前月:+0.5%)と、2ヵ月連続で堅調となった前月からは大幅に伸びが鈍化した(図表2)。個人所得もハリケーンによる影響を受けているとみられ、9月以降はさらに影響が拡大する可能性がある。一方、利息・配当収入は+0.2%(前月:+0.3%)とこちらも伸びが鈍化した。
個人所得から社会保障支出や税負担などを除いた可処分所得(前月比)は、+0.1%(前月:+0.2%)とこちらも前月から伸びが鈍化した(図表3)。さらに、価格変動の影響を除いた実質ベースは▲0.1%(前月:+0.2%)と、2ヵ月ぶりにマイナスに転じた。
消費動向:自動車関連が落ち込む一方、ガソリン・エネルギー消費が大幅増加
名目個人消費(前月比)は、サービス消費が+0.3%(前月:+0.2%)と、前月から伸びが加速した一方、財消費が▲0.2%(前月:+0.5%)とマイナスに転じた(図表4)。
財消費では、非耐久財が+0.3%(前月:+0.2%)と前月から伸びが加速した一方、耐久財が▲1.1%(前月:+1.1%)と好調であった前月から一転大幅なマイナスに転じた。非耐久財では、ハリケーン「ハービー」によってガソリン価格が上昇したため、ガソリン・エネルギーが+4.8%(前月:▲0.9%)と大幅な上昇となった。一方、耐久財では、自動車・自動車部品が▲2.7%(前月:+1.6%)と4ヵ月ぶりに大幅なマイナスに転じたほか、娯楽財・スポーツカー▲0.6%(前月:+0.7%)、家具・家電▲0.1%(前月:+0.2%)など、ほぼすべての分野でマイナスに転じた。
サービス消費は、外食・宿泊が+0.5%(前月:横這い)、金融保険が+0.6%(前月:+0.2%)と前月から伸びが加速したほか、住宅・公共投資+0.2%(前月:+0.2%)、医療サービス+0.3%(前月:+0.2%)などで前月並みの伸びを維持した。
価格指数:エネルギー価格(前月比)が4ヵ月ぶりのプラス
F価格指数(前月比)の内訳をみると、エネルギー価格指数が+3.1%(前月:▲0.1%)と、4ヵ月ぶりにプラスに転じた(図表6)。一方、食料品価格指数は横這い(前月:+0.2%)と前月から伸びが鈍化した。前年同月比では、エネルギー価格指数が+6.7%(前月:+3.3%)と、10ヵ月連続のプラスを維持した(図表7)。食料品価格指数は、+0.3%(前月:▲0.1%)と、こちらは7月に16年4月以来のプラスに転じた後、2ヵ月連続のプラスとなった。
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窪谷浩(くぼたに ひろし)
ニッセイ基礎研究所 経済研究部
主任研究員
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