東京都道への電柱新設を原則禁止することを柱にした東京都無電柱化推進条例が施行された。都道府県での条例化は全国初で、2019年度までにおおむね首都高速・中央環状線内側に当たる「センター・コア・エリア」で都道の無電柱化を完了させる目標を掲げている。

だが無電柱化実現のカギを握るのは、都内の道路延長の90%を占める区市町村道。各自治体によって取り組みへの意欲が異なるうえ、幅の狭い道路が多い。都は区市町村の意識改革を求めると同時に、工事コストの引き下げ、狭い道にも対応できる技術革新を進める必要がある。

センター・コア・エリア内を優先整備

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(写真=PIXTA ※画像はイメージです)

隅田川に架かる清洲橋から東京都江東区を東西に貫く清洲橋通り。臨海副都心と錦糸町・亀戸副都心の中間にあり、沿線は下町の風情を残しながら、開発が近年、急ピッチで進んでいるエリアだ。

このうち、清澄通りとの交差点から明治通りとの交差点まで約3キロの都道で無電柱化工事が進んでいる。工事に入ったのは2008年度から。2019年度には全線で電線などが地中に埋設され、通りの姿が一変する。

都条例は都道での電柱新設を原則禁止するとともに、都が区市町村と連携して無電柱化計画を策定し、都内の無電柱化を推進する内容。小池百合子都知事が2016年夏の都知事選で公約に掲げた肝いり事業で、6月に都議会で可決され9月から施行された。

都道の整備対象延長約2300キロのうち、2016年3月までに整備を終えたのは900キロ足らず。無電柱化率は38%にすぎない。整備が比較的進んでいる23区内でも、55%にとどまっている。都はセンター・コア・エリアのうち、都市計画道路として拡幅されるなどした約270キロを優先的に整備し、2019年度までに無電柱化を終える計画。

さらに、複数の事業者の架線を収容する電線共同溝のコンパクト化、低コスト化の検討、区市町村道の無電柱化に対する都の財政、技術両面からの支援を進める方針も打ち出している。

都安全施設課は「首都にふさわしく、快適で美しい都市景観の形成に向け、一層の努力を進めたい」と意欲を示した。