『
なめらかなお金がめぐる社会。あるいは、なぜあなたは小さな経済圏で生きるべきなのか、ということ。
』
著者:家入 一真
出版社: ディスカヴァー・トゥエンティワン
発売日:2017/8/26
価格:1620円(紙版、税込み)
市場では寡占化が進んでいる。2017年9月4日付の日本経済新聞によると米アップルを含むトップIT企業5社の手元資金は約62兆円(2017年6月末時点)で、日本の2016年度の国家税収約55兆円を超えているという。
格差を拡大させる資本主義で、生きづらさを感じる人が増えている。本書ではそのような人が幸せに生きるためにはどうしたらよいかを述べている。
著者はインターネット上で不特定多数から出資を募るクラウドファンディングサイト「CAMPFIRE」(キャンプファイヤー)の代表取締役を務める家入氏。同氏は株式会社paperboy&co. を創業し、29歳でジャスダック市場に当時最年少で上場を果たした経験を持つ。
行き過ぎた資本主義?
例えば自動車、まだ乗れるにも関わらず、大企業が多額の広告費をかけて、消費者の購買意欲を刺激し買い替えを促す。著者はかつての高度経済成長期のように「大きいことは良いことだ」と規模の拡大を目指す、既存の経済の仕組みを「大きな経済圏」と呼ぶ。
著者は「大きな経済圏」を否定せず、むしろ資本主義の本質であると捉える。しかし、現代のような「行き過ぎた資本主義」に価値を見いだせず、生きづらさを感じる人が幸せに生きるためには、後述する「小さな経済圏」が充実することが必要だと主張する。