2014年6月から計16回にわたり、金融庁の金融審議会「保険商品・サービスの提供等の在り方に関するワーキング・グループ(以下、ワーキング・グループ)」で議論が行われました。その中で「不妊治療に係る保険」に関しても言及されています。

ワーキング・グループが2015年6月7日に発表した報告書によると、保険ニーズに合わせて新たな保険設計が必要であるが、不妊治療に係る保険に関しては社会的な関心が高まっているにも関わらず、保険業法やその他関連法令によって制限されている現状が指摘されています。

そこで、2016年2月に保険業法施行規則の一部改正が発表され、2016年3月から不妊治療にかかる保険の販売が解禁されました。それにより、国や自治体の助成金だけでは賄えなかった不妊治療費を民間の保険会社の保険で備えることが可能となったのです。

(写真=Raihana Asral/Shutterstock.com)
(写真=Raihana Asral/Shutterstock.com)

民間の不妊治療保険について

不妊治療に係る保険販売は解禁されたものの、実際に販売されている商品数はまだ少ないのが現状です。現在、個人向けに販売されている不妊治療保険は、三大疾病保険の「特約」として、保険適用されない人工授精や体外受精などの「特定不妊治療」を受けた際に1回5万円(7回目以降は1回10万円)が給付される内容になっています。

その他、出産時にも一時金として給付金が受け取れ、満期の際には一時金として支払った保険料の一部が返ってくるので、貯蓄性を兼ね備えた女性のための保険といえるでしょう。

ただし、加入してから2年間は不てん補期間(保険がおりない期間)があったり、加入できる年齢や給付の受け取り回数に制限があったりするため、加入の際にはメリット・デメリットを確認することが大切です。

今後の不妊治療保険

企業や健康保険組合向けには、福利厚生の一環として損害保険会社が特定不妊治療にかかった自己負担分を保障する保険が販売されています。被保険者や従業員だけでなく、被扶養者(配偶者など)も保障の対象になっているのが特徴です。

今後は、企業においての不妊治療への理解や補助制度の拡充と共に、個人向けにも同様の保険が販売開始される可能性もあります。

ガンに備えた保険では、入院や手術を保障する医療保険に特約(オプション)としてガンの保障を追加するタイプ、ガンだけが保障される(他の病気や手術の費用は出ない)単独のガン保険、今回の損害保険会社の不妊治療保険同様、自己負担で支払ったガン治療費が全額保障される単独のガン保険、と3タイプがあります。

ガンと同様、保険適応されない治療を受けた場合の治療費が高額になりやすい不妊治療において、民間の保険の役割は大きく、今後の商品開発に注目したいものです。

不妊治療をしていると、新たな保険に入れない可能性大

不妊は病気ではありませんが、排卵誘発剤などの薬を服用する場合が多く、保険に加入しようと思ってもできないことがあります。

不妊治療中に加入できる保険も販売されていますが、保障対象外となる疾病(子宮内膜ポリープや卵巣過剰刺激症候群、帝王切開、流産など)があり、健康体で加入するよりも制約が出る場合もあるようです。

女性は、普通妊娠をしても、切迫流産や妊娠高血圧症候群などで入院することや、妊娠中に順調であっても分娩の際に緊急帝王切開となることもあります。医療の発展によって「何事もなく子どもが産めるのが当たり前」と思いがちですが、「命を育み、産むリスク」は女性特有のものです。

後々困って後悔しないために、将来を見据えて早めの対策をすることが大切です。

(提供: 保険見直しonline

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