安倍内閣が推進してきた「働き方改革」、中でも目玉政策として掲げた「同一労働同一賃金」は実現に向けて進んでいるのだろうか? 衆議院が解散され、総選挙を目前に控えた今、「平成28年パートタイム労働者総合実態調査」や他の政府統計から検証する。

「同一労働同一賃金」に関する政府の狙い

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(写真=PIXTA)

首相官邸が発表している「働き方改革実行計画」は、30代以上の女性は、子育てや介護を理由として自ら非正規雇用を選択しているほうが多いことを問題視し、「同一労働同一賃金」の法律を整備することで、正規雇用と非正規雇用の待遇差を解決することを目標としている。

この方針を受けて厚生労働省では、現在正規の仕事がないからを非正規労働の選択理由としている人、いわゆる不本意非正規雇用労働の割合を2016年の15.6%から2020年には10%以下にすることを目標として掲げている。

「同一労働同一賃金」というスローガンを掲げているが、政府は実際には、子育てや介護を理由として不本意ながら非正規労働を選んでいる人を減らすのを狙いとしている。

「同一労働同一賃金」はほとんど進まず

安倍内閣発足の2012年12月以降、「同一労働同一賃金」は進んだのだろうか。

「平成28年パートタイム労働者総合実態調査」では、2016年10月時点を対象に、全国約1万の事業所に対し、正社員と職務が同じパートがいるかについてと、正社員と職務が同じパートについて基本給、手当、賞与、退職金の4項目で正社員と同様の算定制度で算出しているか尋ねている。

その結果、「正社員と同様の算定制度で算出している」と答えた割合は基本給では16.2%、役職手当は49.9%、賞与は17.1%、退職金は40.3%。給与の基本となる基本給と賞与は、80%以上の企業が正社員とパートの格差をつけていると回答している。

ちなみに2011年の前回調査との比較では、「正社員と同様に算出していると答えた割合」は給与では2.3ポイント増加。賞与でも2.0ポイント増にとどまっており、統計からは「同一労働同一賃金」はほとんど進んでいないことがうかがえる。