総務省が2017年3月末で任期終了した地域おこし協力隊員の定住状況について調べたところ、6割強が活動した地方自治体と同じ地域に定住していることが分かった。活動した自治体に定住した協力隊員のうち、3割近くはカフェを開業するなど起業していた。

協力隊に参加する人は毎年、急激に増えている。定住率6割は国の地方移住推進策として成功の部類に入るが、地方になじめずに任期途中で隊員を辞めたり、起業に失敗したりする例も後を絶たない。いっそうの定住を促すためには、起業支援や受け入れ態勢の充実を図る必要がありそうだ。

定着率は2年前より4ポイント増、うち3割が起業

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総務省のまとめによると、2017年3月末現在で任期を終えた協力隊員は全国で2230人。このうち、男性が63%、女性が37%を占めた。年代別では20代、30代の若い世代が75%を超え、特に女性は80%以上がこの世代だった。

任期終了後、活動地と同じ自治体内に定住した協力隊員は1075人で、全体の48%を占めた。これに活動地の近隣自治体に定住した321人を加えると、全体の63%に当たる1396人が同じ地域に定住したことになる。2015年の前回調査の59%に比べ、4ポイント増えている。

年代別の定着率は30代、40代が60%を超えたが、20代が60%を下回った。中でも20代の男性は50%前後と最も低くなっている。

活動地と同じ自治体内に定住した協力隊員は、29%に当たる314人が起業した。前回調査の17%に比べ、12ポイントも増加している。就業した人は前回と同じ47%の510人。就農などした人は前回より4ポイント少ない14%の152人だった。

起業した協力隊員の仕事は、古民家カフェや農家レストランなど飲食サービス業が最も多く、49人を数えた。以下、鮮魚の移動販売、山菜の通信販売など小売業が30人、ゲストハウスや農家民宿など宿泊業が28人、集落支援などまちづくり支援業が26人、ツアー案内など観光関連が21人と続く。

就業した事業所は旅行、宿泊など観光関連が最多で64人。地域おこしやまちづくり関係が55人、森林組合、農業法人など農林漁業関係が43人、医療福祉関係が33人、移住、交流関係が19人いた。就農などでは畜産業を含めた農業に141人、林業に6人、漁業に2人が進んでいる。

協力隊員数は急増を続け、2016年度で全国約4000人

協力隊は2009年度のスタート。自治体が委嘱する協力隊員の経費を国が1人当たり年間400万円を上限に負担する。任期は1年で、最長3年まで延長できる。任期中は自治体内のまちおこし活動などに参画してもらう。任期を終えればその自治体に定住してもらうのが目的だ。

2009年度には受け入れ自治体が全国で31しかなく、協力隊員の数も89人にとどまった。しかし、その後は受け入れ自治体、協力隊員とも急増を続け、2016年度は886自治体、3978人に達している。

過疎地域の自治体は人口減少と高齢化のダブルパンチで若い世代の確保に頭が痛い。協力隊員を受け入れれば、自治体の持ち出しがなくても若者の定住を図ることが可能になる。このため、若くて優秀な協力隊員の争奪戦が一部で見られる。

総務省地域自立応援課は「一定の成果が上がっている。引き続き協力隊員の定着促進を目指し、支援を進めたい」と喜んでいる。