東京商工リサーチが10月3日に発表した2016年「全国社長の輩出率、地元率」の調査によると、社長輩出率が最も高い都道府県は3年連続で徳島県となった。社長の輩出率が最も高い都道府県という名誉であるが、一方で手離しでは喜べない事情もある。

社長輩出率トップ10 あの大企業の社長も徳島県出身

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(写真=PIXTA)

調査は東京商工リサーチの企業データベース約297万社から2016年12月時点での代表者データを集計しており、2010年に調査を始め、今回で7回目となる。

社著の輩出率は人口に対してどの程度の社長を輩出しているかを計ったものである。出身都道府県別の社長数を総務省の「人口推計」(2016年10月1日時点)に基づく各都道府県人口で除して算出している。

社長の輩出率が高い上位10都道府県は次のようになっている。

順位(前年順位) 都道府県名 輩出率 人口
1位(1位) 徳島県 1.362% 75万人
2位(2位) 山形県 1.285% 111万3000人
3位(3位) 香川県 1.191% 97万2000人
4位(4位) 秋田県 1.169% 101万人
5位(5位) 愛媛県 1.049% 137万5000人
6位(8位) 山梨県 0.996% 83万人
7位(7位) 大分県 0.983% 116万人
8位(10位) 広島県 0.971% 283万7000人
9位(9位) 島根県 0.966% 69万人
10位(12位) 福島県 0.960% 190万1000人

社長の輩出率トップは3年連続で徳島県となった。徳島県は堅実、実利を尊ぶ県民性があり、「阿波踊り」の起源は質素・倹約のストレス発散だとする説もある。現在は「光ブロードバンド王国」と掲げており、環境整備を行う事で先端産業やベンチャー企業の誘致を進めている。

社長輩出率が最も高い徳島県であるが、同県出身の現役社長としてまず名前が挙がるのが、日立製作所 <6501> で2014年4月から代表執行役執行役社長兼CEOを務める東原敏昭氏だろう。東原氏は経営幹部に東大卒が多い日立製作所にあって、徳島大卒の経歴を持つ。英会話スクールのイーオンを傘下に持つイーオンホールディングスの代表取締役社長である安藝清氏も同県出身だ。過去に遡っても、大塚ホールディングス <4578> 傘下の大塚製薬の創業者である故大塚武三郎氏等、著名な実業家も多い。

2位は山形県となっている。辛抱強く、堅実な県民性に加え、江戸時代から商工業が活発な土地柄でもある。東京商工リサーチの調査によると、山形県は明治時代に創業した企業の比率が1.9%と全国で最も高く、老舗企業が多いという特徴もあるようだ。