不動産投資は高度で専門的なノウハウを有するプロが行うものと思っている人は少なくないようですが、実際はそうではありません。確かに個別物件の収益性の評価、マクロ経済情勢の分析、契約条件のチェックなどは不可欠です。しかし、基本的な仕組みを理解していれば多くの人が取り組むことができるのです。
不動産投資はバランスシートで考える
不動産投資を行う際にもっとも重要なことは、バランスシート(資産・負債・純資産(資本))全体を見渡すことです。一戸数千万円というマンション販売価格だけをみると、一般のサラリーマンが簡単に手を出せる投資ではないと思われがちですが、実態はやや異なります。
資産(マンション)を購入する元手は、資本(自己資金)だけではありません。負債(ローン)をうまく活用すれば、30~40代の普通のサラリーマンでも不動産投資は可能です。ほとんどの企業が銀行借入れや社債発行を行っているのと同じです。
「資産=負債+純資産(資本)」という恒等式を念頭に置き、投資物件を探すと同時にローン戦略を考えれば、自己資金が少ない若手サラリーマンでも十分に不動産投資を行えます。
不動産投資では損益と資金繰りの予測が必須
不動産投資を行う一番の目的は賃料収入を得ることです。ただし、それは入居者が支払う賃料から各種費用を控除した純利益ベースで考えなければなりません。
借入金利息、管理費、修繕積立金、固定資産税・都市計画税、減価償却費、管理業務委託費(不動産会社へ支払う手数料)などの費用をしっかり見積もって、どの程度の収支になる物件かを見極める必要があります。
その際、空室、賃料低下、滞納など賃料収入が減少するリスク、物価変動などにより各種費用が増加する可能性を織り込むことが大切です。
また、損益計算と資金繰り(現金収支)が異なることにも注意を要します。建物・付属設備の経年劣化を減価償却費として計上する場合、これに伴う現金支払いはありません。なぜなら、建物などの取得代金は購入時に支払い済みだからです。
一方、借入金(元本)返済により手元の現金は減りますが、費用計上は行われません。借りたものを返すだけなので負債が減るのみです。こうした損益計算と現金収支の違いを認識して「黒字なのに手元にお金が残らない」といった事態に陥らないようにすることが重要です。