全国の旅行業1700社の売上高や利益率を分析した結果が発表された。それによると、2016年度の売上高合計は2兆6241億3100万円で前年度に比べて22%も減少。利益金は155億7100万円で前年より45.6%とほぼ半減する結果となった。

国内旅行の不振やテロの影響で厳しい現状

旅行業者
(写真=PIXTA)

調査を行ったのは東京商工リサーチ。保有する企業データベースから、主業種が「旅行業」で2014年度から比較可能な1700社を抽出し、分析した。1700社の2016年度の売上高合計は2兆6241億3100万円で、前年度より609億300万円減少している。この要因となったのが、国内旅行の不振だ。2016年4月に起こった熊本地震、8月に北海道・東北に大きな被害をもたらした台風10号など、ゴールデンウィークやお盆など旅行が増える時期に起こった天災によって、国内宿泊旅行を控える動きが強まった。その結果、国内旅行に大きな不振をもたらした。観光庁が発表した「宿泊旅行統計調査」によれば、2016年の国内延べ宿泊者数は4億9249万人泊で、前年に比べて2.3%減少している、外国人宿泊者数は過去最高となる6939万人泊を記録したのに対し、日本人の宿泊が4億2310万人泊と低迷している。国内旅行の大きな不振がわかる結果となった。

また、海外旅行も2015年に起こったパリ同時多発テロ事件をはじめとするヨーロッパで起こったテロ事件を受け、低迷したことも売上高減少につながった。利益金合計は155億7,100万円で、前年度よりも130億5,900万円減少している。国内旅行の不振だけでなく、高収益とされるヨーロッパなどの海外旅行が落ち込んだことが、利益の減少につながった。