家計調査の詳細:就業者数の大幅な増加を背景に、労働力人口は増加

家計調査のうち、9月の労働力人口は前月対比で+57.5万人(前月:+7.7万人)と、17年1月(+58.4万人)に次ぐ伸びとなった。内訳を見ると、失業者数が▲33.1万人(前月:+15.1万人)と前月から大幅な減少に転じた一方、就業者数が+90.6万人(前月:▲7.4万人)と13年11月(+95.9万人)に次ぐ水準に増加したことが大きい。非労働力人口は▲36.8万人(前月:+12.8万人)と、こちらは大幅な減少となった。

この結果、労働参加率は63.1%(前月:62.9%)と14年3月以来の水準に上昇した(図表5)。

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また、失業率は4.2%(前月:4.4%)と01年2月以来の水準に低下した。家計調査も事業所調査ほどではないにしてもハリケーンの影響を受けているため、来月以降の数値が注目される(図表6)。

次に、9月の長期失業者数(27週以上の失業者人数)は、173.3万人(前月:174.0万人)となり、前月対比では▲0.7万人(前月:▲4.5万人)と、2ヵ月連続の減少となった。もっとも、長期失業者の失業者全体に占めるシェアは25.5%(前月:24.7%)と、こちらは小幅に上昇した。平均失業期間も26.8週(前月:24.4週)とこちらも前週から増加した(図表7)。

最後に、周辺労働力人口(156.9万人)(3)や、経済的理由によるパートタイマー(512.2万人)も考慮した広義の失業率(U-6)(4)をみると、9月は8.3%(前月:8.6%)と、前月から▲0.3%ポイント低下した(図表8)。この結果、通常の失業率(U-3)と広義の失業率(U-6)の差は4.1%ポイント(前月:4.2%ポイント)と、こちらも前月から▲0.1%ポイント縮小した。

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(3)周辺労働力とは、職に就いておらず、過去4週間では求職活動もしていないが、過去12カ月の間には求職活動をしたことがあり、働くことが可能で、また、働きたいと考えている者。
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4)U-6は、失業者に周辺労働力と経済的理由によりパートタイムで働いている者を加えたものを労働力人口と周辺労働力人口の和で除したもの。つまり、U-6=(失業者+周辺労働力人口+経済的理由によるパートタイマー)/(労働力人口+周辺労働力人口)。
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窪谷浩(くぼたに ひろし)
ニッセイ基礎研究所 経済研究部 主任研究員

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