結果の評価:ハリケーンの影響で雇用者数は減少も、労働市場の基調は強い

月の非農業部門雇用者数は前月から減少したものの、ハリケーンの影響が大きいとみられる。実際、飲食業が前月比▲10.5万人と過去1年間の月間平均増加数である+2.4万人から大幅に減少した。事業所調査では、職が有っても調査週に給与支払いが無い場合には、雇用者数にカウントされない。BLSは、これらの業種では勤務出来なかった場合に給与が支払われないことが多いため、ハリケーン「イルマ」が9月10日の調査週に、フロリダ州に上陸した影響を受けた可能性を指摘した。また、BLSは9月統計で職があるのに仕事出来なかった人数が150万人と、過去20年間で最高水準であったとしているため、事業所調査ではハリケーンの影響が大きかったようだ。

一方、家計調査もハリケーンの影響を受けるものの、こちらは事業所調査と異なり、調査週の給与支給の有無は関係ないため、事業所調査より影響が軽微であったとみられる。実際、失業率は、労働参加率の改善を伴って低下しており、家計調査は労働需給のタイト化が持続していることを示した。

また、9月の時間当たり賃金(全雇用者ベース)は、前月比+0.5%(前月:+0.2%、市場予想:+0.3%)と、+0.1%から上方修正された前月、および市場予想を上回った。さらに、前年同月比も+2.9%(前月:+2.7%、市場予想:+2.6%)と、+2.5%から上方修正された前月、および市場予想を上回り、16年12月以来の伸びとなった(図表1)。

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もっとも、時間当たり賃金もハリケーンの影響を受けているため、来月以降も堅調を維持するのか注意する必要がある。

このようにみると、9月の結果は、雇用者数は減少に転じたものの、ハリケーンに伴う一時的な要因が大きいとみられ、来月以降は再び雇用増加に転じる可能性が高い。さらに、家計調査は労働需給のタイト化が続いていることを示しており、労働市場の基調は強いと判断できる。

FRBは、9月のFOMC会合でハリケーンの影響は短期的との見方を示し、年内の追加利上げ見通しを維持したことから、9月の雇用統計が年内利上げ方針に与える影響は限定的だろう。