国民的アニメ『サザエさん』の磯野波平(54歳)が生きた1950年代は、年金受給開始年齢が55歳だった。今の65歳よりも10年も早い。しかし当時の男性の平均寿命は65歳で、2016年時点の平均寿命が男性80.98歳、女性87.14歳であることを考えると、昔が今より開始年齢が早いことはさほど不思議ではない。それどころか受給期間は年々長くなっている。そのため、開始年齢を後ろ倒しにしてはどうかという議論が出てきている。

「年金開始70歳」の提言の内容とは

年金
(写真=PIXTA)

「年金受給開始年齢を70歳超に」という内閣府の有識者会議の提言が波紋を呼んでいる。現在原則65歳となっている受給開始年齢を、70歳を超えてからでも受け取れるように制度を緩和しようというもの。

誤解が多いので確認しておくと、70歳まで年金が支給されないという意味ではない。現在受給開始年齢は65歳が原則だが、制度上66歳から70歳まで自由に繰り下げられるようになっている。その制度を拡大して、70歳を超えた年齢も選択可能にしようとするというものだ。

受給開始年齢を繰り下げることで受給者は年金額を増額してもらえるメリットがある。普通にもらうよりも少しの間我慢することで金額がアップするのだ。1年間受給開始を待てば8.4%増、2年間なら16.8%増、5年後の70歳なら42%年金額が増額される。増額された年金額は一生変わらない。

70歳、75歳まで繰り下げた場合の試算