マイホーム取得にあたっては、さまざまな支援制度が実施されているので、それらを上手に活用したいもの。補助金制度から住宅ローンの金利引下げ制度、あるいは住宅ローンを利用したときに所得税が控除される制度など多岐にわたる。

上手に活用すれば、1000万円以上得することがある半面、知らないで放置していると損することになりかねない。基本的には住宅メーカーや不動産会社の担当者などが教えてくれるはずだが、最終的に手続きするのは本人。

少しでも得できるように、どんな得する制度があるのかをシッカリと頭に入れておいて、確実にゲットできるようにしておく必要がある。まずは、どんな得する制度があるのかをザックリと紹介し、次回から各項目について詳しくみていくこことにする。

ローン減税は10年間で最大500万円

住宅選び,税制,制度
(写真=PIXTA)

全額現金で買えればいいのだが、そんな恵まれた人は少ない。ほとんどの人が住宅ローンを利用してマイホームを買っている。その住宅ローンについては、ローン減税制度が実施されている。

住宅ローンを利用して、床面積50㎡などの一定条件を満たす住宅を買った場合、上限4000万円までの年末ローン残高の1%が所得税・住民税から控除される。年末残高が3000万円ならその1%、30万円の税金が還付される仕組みだ。

控除期間は10年間。10年後の年末残高が4000万円を超えていれば、毎年40万円、10年間の控除合計額は400万円になる。長期優良住宅、低炭素住宅の認定を受けた基本性能の高い住まいについては、年間控除額が最大50万円に増え、10年間の最大控除額は500万円になる。

消費税8%時には最大30万円の「すまい給付金」

次に、消費税8%で住宅を買った人には、「すまい給付金」が支給される。2014年に消費税が5%から8%に増税されたことにともなう措置。給付金によって、増税による負担増を軽減しようとするものだから、消費税のかからない住宅、たとえば中古住宅を個人から買った人は対象にならないので注意が必要だ。

給付額は年収によって異なり、425万円以下は30万円で、425万円超475万円以下が20万円、475万円超510万円以下が10万円となっている。2017年10月から消費税が10%に引き上げられた場合には、給付額が最大50万円に引き上げられ、対象となる年収も引き上げられる予定だ。

地球環境にやさしい住まいには75万円の補助金

CO2排出量の削減が世界的な課題になっているが、住まいのCO2排出量を減らすため、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH=ゼッチ)への補助金制度が実施されている。

ZEHというのは、住まいの高断熱・高気密化によって使用するエネルギーをできるだけ少なくし、それ以上のエネルギーを太陽光発電、燃料電池(エネフォーム)などで創出、差引きで実質的な一次エネルギーの使用量をマイナスにするというものだ。

このZEHの認定を受けた住宅であれば、2017年度の補助金は1戸当たり75万円になっている。加えて、家庭用蓄電池を設置すれば、1台当たり40万円の補助金が加わり、合計115万円になる。

年間光熱費がゼロになるなどのメリットも

高断熱・高気密化、太陽光発電設備の設置などで、ZEHは一般の住宅に比べてどうしても割高になるが、その分補助金を受けられ、かつ年間の光熱費が大幅に削減される。建て替え前は年間20万円だった光熱費支払いが10万円に減って、太陽光発電で余った電気を電力会社に売った売電収入が25万円になり、年間15万円のプラスといったこともある。

建て替え前は年間20万円の支出だったのが、年間15万円の収入になるのだから、差引きすると35万円収入が増えたといっていい状態になる。多少建築費や取得費が高くなっても、その分は10年、20年の間に回収できるかもしれない。

「フラット35S」で総返済額が約72万円減少

住宅ローンのなかでも、住宅金融支援機構と民間提携のフラット35には、一定条件を満たす住宅に関する金利引下げ制度が実施されている。長期優良住宅、低炭素住宅などのほか、耐震性の高い住宅などが対象になる。

金利引下げ幅は0.25%、引下げ期間は5年間または10年間。2017年10月の返済期間35年の金利は1.36%だから、これが1.11%になる。借入額3000万円、35年元利均等返済を利用した場合、35年間の総返済額は、金利1.36%の通常のフラット35が約3772万円に対して、10年間金利が0.25%引き下げられるフラット35Sだと約3700万円に減少する。35年間で約72万円の得になる計算だ。

このほか、中古住宅を買って一定のリノベーションを行ったときには、「フラット35リノベ」の対象になる。こちらは、金利引下げが0.60%なので、さらにメリットが大きくなる。ただ、こちらはまだまだ条件が厳しく、さほどの利用数に至っていないようだ。

住宅取得のための贈与は1200万円まで非課税

親子の間とはいえ、年間110万円を超える贈与があった場合には、贈与税の対象になる。この贈与税は相続税と並んで、最高税率55%のたいへん重い税金だけに、迂闊に贈与するとたいへんなことになる。

しかし、直系尊属(両親や祖父母など)から、住宅取得資金のための贈与を受けた場合には、一定金額まで課税が免除される非課税制度が実施されている。

17年10月現在、その非課税枠は700万円で、耐震性、断熱性などの一定の条件を満たす「質の高い住宅」については、500万円加算されて1200万円まで非課税で贈与を受けることができる。

たとえば、1200万円の贈与を受けると、通常は、1200万円から基礎控除の110万円を引いた1090万円が贈与税の対象。税率は40%で、控除額が190万円なので、1090万円×0.4-190万円で246万円の贈与税になる。しかし、住宅取得のための贈与であれば、これがゼロになるわけだ。現状でも、この制度を利用して親から資金を貰える人は、246万円の税金支払いがゼロになって、それだけ得できるということだ。

19年4月から非課税枠が3000万円に

しかも、この非課税枠、19年10月から消費税が10%に引き上げられるのにともなって、それに先行する19年4月から一般の住宅で2500万円、質の高い住宅で3000万円に引き上げられる。両親などから多額の贈与を期待できる人であれば、19年4月まで待って贈与を受けるのが得策だ。

現在の非課税枠1200万円で3000万円の贈与を受けると、非課税枠1200万円に加えて基礎控除110万円を引いた1690万円が課税対象。税率は45%で、控除額は265万円だから、1690万円×0.45-265万円で、税額は495.5万円に達する。3000万円貰っても、実際に住宅資金に充てられるのは2500万円を切る計算だ。

しかし、17年4月以降の贈与であれば、贈与税がゼロになる。495.5万円の負担がゼロになるのだから、500万円近く得するといっていいだろう。

19年4月なから得する金額は1000万円超

以上のように、得する制度を利用すると、1000万円以上負担が軽くなることになる。
ざっと挙げてみると――。

ローン減税       500万円
すまい給付金       50万円
ZEH補助金       115万円
フラット35金利引下げ  72万円
贈与税非課税枠 495.5万円

合計すると、1000万円以上も得できることになる。

ただし、これらの制度、事前に申請したり、事後に確定申告したりしないと、メリットを享受できない。次回から、その点を含めて、どんな人が、どうすれば、どれくらい得できるのか、各項目について詳しくみていくことにしよう。

住宅ジャーナリスト・山下和之
1952年生まれ。住宅・不動産分野を中心に新聞・雑誌・単行本・ポータルサイトの取材・原稿制作のほか、各種講演・メディア出演など広範に活動。主な著書に『家を買う。その前に知っておきたいこと』(日本実業出版社)、『マイホーム購入トクする資金プランと税金対策』(学研プラス)などがある。『Business journal』、住宅展示場ハウジングステージ・最新住情報にて連載。

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