再生可能エネルギーのエースとされる太陽光発電の先行きに陰りが見える中、新たな再エネとして期待されているのが、バイオマス発電である。バイオマス発電のFIT制度における認定量は、すでに1200万kWを突破、2030年の国の目標達成を視野に入れている。なぜ、今、バイオマスなのか、バイオマス発電は再エネの救世主になれるのか、その見通しを探ってみた。

FITの対象は5種類の再エネ

バイオマス発電,再生可能エネルギー
(写真=Thinkstock/Getty Images)

再生可能エネルギーは、一般に自然エネルギーと呼ばれているが、国の制度(FIT制度:固定価格買取制度)における再エネは、太陽光発電、風力発電、地熱発電、中小水力発電、バイオマス発電の5種類のエネルギーを指している。再エネとしては、そのほかにも波力発電、潮流発電などがあるが、それらはいずれも、実用化段階にないため、制度の対象から除かれている。

すでに実用化され、今後、国のエネルギー政策として導入を促進する必要のある再エネを、FIT制度における5種類のエネルギーとして、政策的に支援しているわけである。

FIT制度のエネルギーのうち、太陽光発電はこれまで再エネのエース的存在であり、大幅に伸長した。しかし、その太陽光発電は、曲がり角を迎えているといわれる。というのも、FIT制度では、発電電力の買取は、電力料金に上乗せされる再エネ賦課金の形で、電力会社が買い取る仕組みになっており、買取が増大すればするほど賦課金が増え、電力料金上昇の形で、国民負担の増加をもたらすからだ。そうした状況から経済産業省は太陽光発電の買取価格を毎年引き下げ、2019年度には、住宅用太陽光発電については電気料金並みのkWh24円に引き下げる一方、事業用太陽光発電については2MW(2000kW)以上に入札制を導入することにした。住宅用、事業用ともに、売電のメリットがなくなることになる。

こうした一連のFIT制度の見直しは、今年4月の法改正で実施された。それによって、太陽光発電事業者にとってはビジネスのうま味が薄れる一方、事業者の中には、倒産に追い込まれるところも目立っている。“太陽光発電冬の時代”の到来ともいわれている。

太陽光発電に次ぐFIT認定量

太陽光発電が曲がり角を迎えている中で、再エネのエースになり得るのはどの再エネだろうか。資源エネルギー庁が9月にまとめた再エネの現状に関するデータによると、今年3月末時点のFIT認定量(買取を認めた再エネ発電設備量)で最も多いのは、太陽光発電設備の8454万kWだが、それに次いでバイオマス発電設備の1242万kWとなっている。ちなみに風力発電設備は697万kW、中小水力は112万kW、地熱は9万kWである。

FIT認定量とは、申請された発電事業が認定要件をクリアした設備をいう。稼働した設備ではない。実際に稼働するのは、2~3年後というケースが多い。しかし、それにしても認定量1242万kWという水準は、経産省が長期エネルギー需給見通しで想定している2030年度のエネルギーミックス(電力構成)におけるバイオマス発電容量(602万~728万kW)の実に2倍強に相当する。

地産地消のクリーンエネルギー

なぜ、バイオマス発電の認定量が増えているのか。バイオマス発電はいうまでもなく、動植物などの生態系に由来するエネルギーであり、木質系のチップや廃材、もみ殻、牛糞などの廃棄物、廃食油などの一般廃棄物など多種多様の燃料による発電である。バイオマス自体はバイオガスやエタノールとして利用されることもあるが、大部分は、燃焼による発電燃料として利用される。

発電燃料として燃やせばCO2を排出するのでは、という疑問が生ずるが、バイオマスはもともと空気中のCO2を取り込んで成長したものであり、燃焼で排出するCO2と等量である。すなわち、カーボンニュートラルというわけである。したがって、バイオマス発電は、太陽光や風力と同様、環境にやさしいクリーンエネルギーである。

しかも、バイオマス発電の最大の利点は、燃料確保さえ整えば、安定した電源になり得るという点である。日照、気象条件によって左右される太陽光発電や風力発電との決定的な違いである。また、エネルギーの“地産地消”の観点からも、バイオマス発電が急速にクローズアップされてきたといえる。

とはいえ、バイオマス発電のデメリットは、発電コストの7割が燃料費であるという点である。燃料の廃材、間伐材、その他の廃棄物の収集、運搬等に要するコストの比重が極めて大きい。そのため、バイオマス発電が太陽光発電並みの再エネの主役になるには、いかに効率的な燃料調達システムを構築し、低コストで確保できるかが、そのカギを握っているといえよう。(西条誠、エネルギー・経済ジャーナリスト)

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