「防火地域、準防火地域」で住宅を建てる場合、建築基準法で一定の「防火上の構造制限」が建物に対して定められている。そのため、防火地域、準防火地域で建築する住宅は耐火構造としなければならないため、ごく一般的な地域で建築するよりも住宅のコストが高くなる傾向がある。

防火地域や準防火地域は利便性のよい住宅密集地や商業地域などで指定されているケースが多くなっており、立地条件だけで土地の判断をして、実は防火地域、準防火地域であることを見落とすことも少なくない。

防火・準防火地域とは火災の危険性を防ぐため都市計画で定められる

防火地域,準防火地域
(写真=PIXTA)

商店街や住宅密集地などの市街地では、お互いの建物の離れが十分ではなく、火災が発生した場合は延焼する危険が大きくなる。こうした危険性を防ぐために、都市計画では特定の場所に「防火地域、準防火地域」を定めている。

防火地域、準防火地域では、住宅建築に関連する制限において、それぞれ次のような建築物の制限が定められている。

(1)防火地域

  • 階数が3以上又は延べ面積が100平米を超える建築物・・・耐火建築物の構造
  • その他の建築物・・・耐火建築物又は準耐火建築物の構造(一部の条件除く)

(2)準防火地域

  • 地階を除く階数が3の建築物・・・耐火建築物又は準耐火建築物又は技術的基準に適合する木造可(一部条件除く)
  • 木造建築物等・・・防火構造、不燃材料で造るか覆う

ほとんどが木造の建築物であった昔は、常に延焼の危険にさらされ、大火の度に住まいを失うことも多かった。最近では、2016年12月に発生した新潟の糸魚川大規模火災は、まだ記憶に新しい。糸魚川で火災があった地域は「準防火地域」に指定されていた。しかし、実際は準防火地域の指定を受けた昭和35年以前に建てられた建築物が多く、建築基準法で定められた「防火構造」に不適合であったものも存在していたのである。

防火地域、準防火地域「以外」の市街地では「法22条区域」に指定