住宅を宿泊施設として運営できる「民泊新法」の来春施行が決定している。現在の旅館業や特区民泊よりもさらにハードルが低くなり、ヤミ民泊問題の解決が急速に進むと言われている。実際にはどのように影響してくのだろうか。

増える利用者とヤミ民泊

民泊
(写真=Anton Watman/Shutterstock.com)

世界最大級のバケーションレンタル会社ホームアウェイが2017年9月に実施した「民泊に関する意識調査」によると、民泊の利用経験者は半年前の5.0%から13.8%に増加しており、リピーター率も高くなっているという。特に家族連れには一軒丸貸しが人気で小さな子供を連れての旅行でも安心して泊まれると評判は高い。日本でもこの一軒丸貸し民泊では高い稼働率を維持できると考えられ、まとまった広さのある分譲マンションや戸建ての賃貸物件での民泊経営が増加している。

その一方で1万件以上の民泊が未だに無許可であることも深刻な問題である。厚生労働省が「旅館業法上の指導等の状況について」を発表した。違法だと思われる民泊への指導や通報の件数がまとめられているのだが、2015年度では1413件だったのに対し2016年度では1万849件とまさに7倍以上に増加している。近隣住民や、消防、警察などからの通報件数は約700件から約8500件の増加である。この発表で都道府県別の数字は出ていないが、特区民泊での営業が最低6泊から2泊に緩和された大阪市では同時期に保健所職員も増員し、違法民泊の規制対策も強化した。前年の2016年から違法民泊が急増した大阪市において保健所指導の件数が特に多かったことを想像できる数字である。

特区民泊の認定件数は増加している大阪市だが