賃貸住宅への入居を断られるケースの多い単身高齢者や低所得者向けに、空き家を貸し出す新しい制度が政府主導で10月25日から始まる。単身高齢者等の住居問題と空き家問題を一挙に解消する新制度であるが、懸念される課題とはどのようなものであろうか。

増加する空き家と単身高齢者世帯 これらの問題を結び付け

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(写真=PIXTA)

新制度は4月に成立した改正住宅セーフティーネット法に基づき、国土交通省が制度を主導、10月25日から施行される事となる。民間の空き家や空き部屋を活用し、単身高齢者や低所得者等、賃貸住宅への入居を断られるケースの多い住宅確保要配慮者の住居確保に繋げる事が目的である。

総務省の「住宅・土地統計調査」によると、2013年の空き家数は820万戸となっており、槽住宅数に閉める割合は13.5%と過去最高を記録している。空き家数は20年間で約1.8倍増えた。その内、耐震性があり、駅から1キロ以内の物件も185万戸に上り、増加する空き家の活用は課題となっていた。

その空き家の活用方法として、住宅確保要配慮者との結びつけが始まる。単身高齢者や低所得者等は賃貸住宅への入居を申し込んでも審査が通らないケースも多い。孤独死や家賃滞納の懸念がある為だ。少子高齢化が進む中、65歳以上の単身世帯は増加を続けている。国立社会保障・人口問題研究所によると、65歳以上の単身世帯は2015年に601万世帯であったが、2035年には762万世帯にまで増加する見込みだ。生活をする上で、住宅の確保は欠かせない条件となる為、政府もセーフティーネットの創設を進めている。

新制度は国土交通省が主導するが、実務は各自治体で行う。賃貸住宅としての貸し出しに同意した空き家等の所有者は自治体へ届出を行う。自治体は登録された物件の情報を入居希望者へ公開するだけでなく、物件が適正であるかの指導監督や、入居後のトラブル対応も担う。更に、耐震改修やバリアフリー化が必要な場合には、所有者に最大で200万円を助成し、低所得者への家賃補助や連帯保証を請け負う会社への債務保証料の助成も行う。

登録される空き家には条件が設けられており、高齢者らの入居を拒まない事や、床面積が一定以上である事、耐震性がある事等が定められている。政府は2020年度末までに全国で17万5000戸の登録を目指す。

新制度で懸念される課題とは?

空き家問題と住居問題を結び付け、一挙に解決を図る新制度であるが、課題もあると見られる。

まずは、公営住宅との線引きである。住宅のセーフティーネットとして設けられている公営住宅であるが、空き家問題を優先し、公営住宅の削減の引き金になるのではないかと懸念されている。公営住宅の入居倍率は高く、2014年には全国で5.8倍、最も高い東京都では22.8倍に上った。公営住宅の入居資格を持つが、入居出来ない人も多いと見られる。住宅のセーフティーネットの選択肢が増える事は良い事だが、セーフティーネットで補える人口を増やす事が大前提であり、政策が複数となる事での経費の無駄遣いや、政策の推進力に濃淡が出る事が無いような采配が求められる。

また、政府目標である2020年度末までに全国で17万5000戸の登録についても、実現するかは不透明である。孤独死や家賃滞納のリスクは排除出来ない点や、自治体の指導監督の下、改修や管理に係る費用を負担する必要がある点等、空き家の所有者に係るコストやリスクは存在し、同意をどれだけ得られるかは見通せない。

10月25日から新制度は始まるが、まずはどれだけの空き家の所有者からどれだけの登録が集まるかに注目だ。2つの問題の同時解決を図るという理念は非常に魅力的であるだけに、これらの課題をクリアにし、政府目標を達成する事に期待したい。(ZUU online編集部)

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