一昔前、サラ金と呼ばれていた消費者金融が鳴りを潜めている。その背景にあるのが、2006(平成18)年に改正された貸金業法だ。2010(平成22)年完全施行された貸金業法の主眼にあったのは、貸金業者の総量規制。いわば、消費者金融がこれまで自分たちの裁量でおこなってきた貸し出しに対して、新たに年収の3分の1までの制限を設けるという規制だった。

この規制強化は消費者金融の多重債務に苦しむ人たちを救済する目的があり、実際に総量規制が打ち出されると、一人あたりの残高はゆるやかに減少した。また、同時に多重債務を原因とする自殺者の数も減少している。数字的な根拠もあり、貸金業法改正による総量規制は一定の効果をもたらしたと言っていいだろう。

『強欲の銀行カードローン』
著者:藤田 知也
出版社:KADOKAWA
発売日:2017年9月8日

銀行が消費者金融とタッグ、そのワケとは?

カードローン

こうした貸金業法の規制強化によって、消費者金融は商売が成り立たなくなり、窮地に陥った。そのため消費者金融が生き残る術として選択したのが、世間的な信用が高い銀行とタッグを組むことだった。

消費者金融と銀行は同じ金を貸すことを生業としているが、二者のイメージは大きく異なる。銀行という信用の傘に入ったことで、消費者金融はそれまで抱かれていた負のイメージを刷新。イメージアップは、消費者金融にとって大きなメリットだった。

では、銀行側のメリットは何なのか?銀行も、一般的には金を貸すことで利益を得ている。本来なら、わざわざライバルである消費者金融とタッグを組むメリットは見出せない。

しかし、不景気で貸し出し先が減少したことやゼロ金利ゼロ・マイナス金利といった時代に突入したために、銀行は単なる融資では儲けを生み出せなくなっている。

それでも銀行はあの手この手で生き残りを模索してきた。投資ブームが高まりを見せると積極的に投資信託を販売し、銀行窓口で保険販売が解禁されるとそこにも傾注した。

どんな手を使ってでも儲けを出そうとする銀行の次なるターゲットになったのが個人の財布。つまり、本書の主題となっているカードローンだ。

カードローンはノーリスクのビジネス