厚生労働省「平成27年人口動態統計」によると、女性の総死亡数62万3,737人でした。そのうち、がんで亡くなった女性は15万838人であり、実に4人に1人の女性ががんで亡くなっている状況です。

そのうち女性特有(乳房、子宮、卵巣)のがんで亡くなった女性は2万4,689人であり、女性のがん死亡数全体の約16.4%を占めています。死亡数が多い女性のがん死亡の順位は、1位大腸、2位肺、3位膵臓、4位乳房という結果になっています。

しかし、「国立がん研究センターがん情報サービス『がん登録・統計』地域がん登録全国推計統計値2012(上皮内がんを除く)」によりますと罹患数(新たにがんと診断された人)を見ると、1位乳房、2位大腸、3位胃、4位肺、5位子宮となっており、罹患数が多くても死亡率が低いがんもある、という事が分かります。

今回は、部位別の死亡率が低く、20代後半から罹患率が増える「子宮頸がん」について紹介します。

(写真=Chinnapong/Shutterstock.com)
(写真=Chinnapong/Shutterstock.com)

若年の女性に多い「子宮頸がん」の現状

子宮がんには「子宮頸がん」と「子宮体がん」があります。前述の国立がん研究センターがん情報サービスの統計によりますと、子宮がんの罹患数は年間約2万3,500例で、このうち子宮頸がんが約1万200例、子宮体がんが約1万2,500例となっており、割合はほぼ同じです。

しかし、罹患年齢を見ますと、子宮頸がんの最も罹患数が多い年齢が40歳~44歳の1,539例に対し、子宮体がんの場合は、60歳~64歳の2,150例となっており、子宮体がんに比べて子宮頚がんは若年で罹患する可能性が高くなる事が分かります。

子宮頸がんのピークは40歳~44歳ですが、20代後半から罹患数が多くなり、25歳~29歳の女性でがんになる人の約24%は子宮頸がんとなっています。(上皮内がんは除く)

「子宮頚がん」の治療法と治療費

「子宮頸がん」とは、女性の子宮頸部にできるがんのことです。子宮頸部とは、腟へと細長く付き出た子宮の入り口部分のことをいます。

子宮頸がんにはあるウイルスが関係しています。それが「ヒトパピローマウイルス(HPV)」とよばれるウイルスです。HPVは、子宮頸がんの患者の90%以上で見つかることが知られており、HPVに長期間感染することでがんになると考えられています。

子宮頸がん初期の段階では、自覚症状がほとんどありません。しかし、不正出血や性行為による出血、おりものの増加などの症状がみられることがあります。

がんが進行した場合には、足腰の痛みや血尿などの症状が表れることがあります。このような症状がみられた際には、ためらわずに医療機関を受診しましょう。

子宮頸がんは、早期発見により比較的治癒しやすいがんとされています。治療には、外科手術、放射線治療、化学療法(抗がん剤)などの方法があり、進行度合いなどで治療方法は変わってきます。

厚生労働省「医療費実態調査(平成27年)」によりますと、子宮がんの1件あたり医療費は入院5万5,916円、入院外2,533円、食事・療養費1万7,271円となっており、これらを合計すると総医療費は75万7,200円となります。

医療費のうち自己負担する金額は3割なので、75万7,200円×0.3=22万7,160円となります。

自己負担額はそれほど高額ではないと感じるかもしれませんが、これは1件あたりの医療費です。検査や治療で通院などをすると、年間にかかる医療費の家計における負担は大きくなってきます。また、「自由診療」を受診した場合100%自己負担となりますので、治療費はさらに高額になります。

子宮頸がんの進行が進むと子宮を摘出しなければならず、女性にとっては子どもが産めなくなるリスクも高まります。「子宮頸がん検診」により早期発見、早期治療する事が一番大切ですが、後編では、子宮頸がんになった時に活用できる制度や、「万が一」に今から備えられる保険について紹介します。

(提供: 保険見直しonline

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