テレビコマーシャルでもお馴染みのガリバーだが、2016年7月に社名をIDOM <7599> に変更した。未来への挑戦に挑む決意として、長年親しまれたガリバーはブランド名として残しながら、新たなビジネスモデルへ舵を切った。

その挑戦は、2018年2月期第2四半期連結決算では増収増益という結果を残した。中古車の買い取り事業が伸び悩んでいた中、新生IDOMとしてどのようなビジネスモデルで成長を達成したのか。

中古車業界に革新もライバル社登場、ネット一括査定で苦境に

ガリバー,IDO
(画像=Webサイトより)

IDOMのガリバーを中心としたこれまでのビジネスモデルは、中古車を買い取り、その車を2週間以内にオークションで中古車業者などに卸売りをするスタイルだった。

短期間で買い取った車を売りに出すため、在庫リスクがない上、中古車を店舗で販売するためのコストもかからず、中古車業界にとってガリバーの登場は革新的だった。在庫リスク、小売りの運営コストが不要なため、その分買い取り価格を既存の中古車業者よりアップすることができ、中古車を売るオーナーもガリバーの出現を歓迎した。

業界に新風をもたらしたガリバーだったが、その勢いは未来永劫とはいかなかった。そのビジネスモデルに注目した他社も、中古車買い取り業に相次いで参入し、競争が激化。さらに追い打ちをかけたのが、技術革新によってもたらされたネットでの中古車買い取りの一括査定だった。

それまでは、ガリバーの高額買い取りが口コミなどで広がり、利用者も堅調に推移したが、利用者はインターネットを利用して無料で複数の会社に査定を依頼することができるようになり、少しでも高く愛車を買い取ってくれる業者を選択するようになった。

こうした苦境を勝ち抜くには、買い取り価格の引き上げに加え、ガリバーの一段の知名度アップを迫られる格好となった。しかし、結果的には買い取り価格と卸売り価格の利ザヤが縮小し、広告費もかさみ経営は苦しくなっていった。

さらには、中古車供給の源ともなる新車販売の低迷が続く環境も追い打ちとなり、17年2月期の連結決算では、営業利益が前年同期比39.2%減の45億8400万円、純利益は同43.2%減の23億3300万円まで落ち込んだ。

「小売り販売チャンネル」の多様化