東京株式市場の上昇基調が続いています。日経平均株価は10/2(月)から10/24(火)まで16営業日連続高となり、これまでの14営業日連続高(1960/12/21~1961/01/11)を上回る過去最長の連騰記録を樹立。10/27(金)には、1996/7/5(金)以来となる終値レベルで22,000円台を回復しました。
欧米の中央銀行が金融緩和からの出口戦略を展開しているものの、そのペースは緩やかであり、世界的に投資家のリスク許容度は高水準を維持しているとみられます。また、世界経済は順調に拡大しており、為替市場の動きも落ち着いているようにみられます。そうした中、我が国では歴史的な金融緩和が継続していることに加え、企業業績も拡大しており、株式市場に資金が流れやすい投資環境になっています。日経平均株価の予想PERは15.2倍(10/26現在)で、過去2年の平均(14.7倍)は上回ってきたものの、同期間の最高値(16.6倍)まではまだ距離があり、上値余地が残っている可能性も大きそうです。
そこで今回の「日本株投資戦略」では、好業績が期待でき、需給も良好とみられる銘柄をスクリーニングにより抽出してみました。抽出された銘柄は、上昇基調を続ける東京株式市場で好パフォーマンスを期待できると「日本株投資戦略」は考えています。
上昇相場で活躍!?好業績・好需給銘柄を探る!
それではさっそく、今後投資家の関心が強まりそうな「好業績・好需給銘柄」について、スクリーニングを行い、抽出を試みたいと思います。スクリーニング条件は以下の通りです。
(1)時価総額1,000億円以上の上場銘柄であること
(2)2人以上のアナリストが業績予想を公表している銘柄であること
(3)今期の予想営業利益について、市場コンセンサスが会社予想を上回っていること
(4)今期予想純利益(市場コンセンサス)が黒字予想であること
(5)今期予想EPS(市場コンセンサス)が過去4週間に増加している銘柄であること
(6)直近の信用倍率(信用買い残高÷信用売り残高)が1倍未満であること
(7)取引注意や信用規制等の対象になっていないこと
上記の全条件を満たす銘柄を「売り超過株数比率」(後でご説明します)の高い順に並べ、上位10銘柄を抽出したものが表1となります。また、現在は決算発表シーズンの最中ですので10/27(金)に決算発表予定の会社は除きました。
ちなみに、「売り超過株数比率」とはここで、「信用売り残高」から「信用買い残高」を差し引いた数字が発行済み株式数(自己株式を含む)の何%を占めるかを示したものです。表の中におさめるために、便宜上用いた表現なので、一般的な表現ではありません。
また、(2)~(5)の条件を入れることで、業績悪により株価が下がる銘柄が抽出されるリスクを避けようとしています。現在、決算発表シーズンの最中であり、業績に対する配慮は必要であると、「日本株投資戦略」は考えています。
信用取引と株式需給
「信用取引」とは、投資家が証券会社に委託保証金を差し入れ、お金や株式を借りて行う取引です。信用取引における「買い」は、お金を借りて株式を買うことで、反対に信用取引における「売り」は株券を借りて株式を売ることを意味しています。前者においては株価が上昇すれば、後者では株価が下落すれば、投資家の利益になります。
信用取引における「買い」においては、最終的には株式を売り、お金を返済することで損益が確定します。逆に信用取引における「売り」では最終的には株式を買い戻し、株券を返済することで損益が確定します。ある銘柄において「信用買い残高」とは、その銘柄を信用取引で買ったものの、まだ返済されていない株数がどの程度あるのかを示し、「信用売り残高」とは、その銘柄を信用取引で売ったものの、まだ返済されていない株数がどの程度あるのかを示しています。
すなわち、「信用買い残高」が多い銘柄というのは、将来株式を売り、お金を返済する必要のある投資家が多いということです。逆に「信用売り残高」が多い銘柄というのは、将来株式を買い、株券を返済する必要のある投資家が多いということを意味しています。このため、「信用買い残高」が多い銘柄は需給が悪く、「信用売り残高」が多い銘柄は需給が良いと考えることができるのです。(※注)
表1の大東建託 <1878> の場合、「信用買い残高」が4万株に対し、「信用売り残高」は58万株ですから、後者の方が54万株多い計算です。同社の発行済み株式数は7,687万株であり、それに対する比率は0.705%となる訳です。また、「信用買い残高」の4万株を「信用売り残高」58万株で割ると0.68倍(信用倍率)と計算されます。
※株価が上昇する過程では、信用取引を使った「買い」が増え、「信用買い残高」が増えることもあります。このため、「信用買い残高」が多いということは、投資家の「先高感」が強いことを表していると考えることができます。同様に、株価が下落する過程では、信用取引を使った「売り」が増え、「信用売り残高」が増えることもあります。このため、、「信用売り残高」が多いということは、投資家の「先安感」が強いことを表していると考えることができます。「信用買い残高」が多い銘柄は需給が悪く、「信用売り残高」が多い銘柄は需給が良いと考えることは、あくまでもひとつの考え方であることをご理解ください。
※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
鈴木英之
SBI証券
投資調査部
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