住宅を建てる際、その敷地に建てられる住宅の大きさは、容積率と建ぺい率に左右されることが多い。これまで地下室は居室としての利用が禁止さていたが、2000年の建築基準法改正により、ある一定の条件を満たせば、居室として利用できるようになるとともに、一部面積の容積率の緩和も認められるようになった。

地下室利用は、手狭な宅地を有効活用できるうえ、地下室という防音性・遮音性という面では地上よりも優れているというメリットが考えられる一方で、湿気や防水には細心の注意が必要である。

加えて、マンションタイプの半地下住宅については周辺住民の訴訟も起こっており、一部は建築確認の取り消し判決を受けている例もある。

建築基準法による容積率緩和とは

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(写真=Artazum/Shutterstock.com)

都市計画法では、市街地エリアを12の用途区域に分け、特に第一種・第二種低層住居専用地域には厳しい用途制限を課している。

容積率は自治体によっても異なるが、例えば、第一種の宅地で容積率が60%の場合、敷地面積が150平方メートルの宅地には、床面積90平方メートルまでの住宅しか建築できない。

一方で建築基準法では、住宅部分に限り、その天井部分が地盤面から高さ1m以内にある地階(エレベーターや階段部分を除く)について、延べ床面積の1/3までは容積率に算入しないことを認めている。上記の住宅の場合、45平方メートルのまでの地階を増設することができる。

なお、上記特例とは別に、地下車庫については、延べ床面積の1/5まで容積率に算入しないことが認められている。

半地下住宅メリットの活用例

例えば100インチクラスの液晶プロジェクターや5.1チャンネルのサラウンドスピーカーを組み合わせたホームシアターを楽しもうとしても、リビングではどうしても周囲に気兼ねする。

一方で地階なら、コンクリートパネルや吸音素材などの工法を施せば、夜中でも大音響でホームシアターを楽しむことができる。

地階が斜面に接していれば、地下ガレージとして活用できる。ガレージの横に書斎や用具置き場のスペースを設ければ、カーマニアにとって休日の寛ぎの場に変身する。

温度変化の少なさを利用して、ワインセラーや生ハム・チーズなどの食材保存スペースとして活用している例もある。

半地下住宅のデメリット

一方、半地下住宅のデメリットは「防水性」である。

地階は地面よりも低い位置にあるため、豪雨による浸水等には十分注意しなければならない。とくに標高の低い地域や地盤の緩い地域はなおさらである。

居住エリアがそうした地域に該当するかは、国土交通省が公表している「地震に関する地域危険度測定調査」や「デジタル標高図」等を活用すれば知ることができる。

加えて、地階の大敵は「湿気」である。ただでさえジメジメしやすいので、適切な換気設備を設けてないと、カビだらけとなり木の柱などが腐食しかねない。

建築基準法でも、地下室に対しては「衛生上必要な措置」を求めている。具体的には上部の換気開口部または空堀開口部(ドライエリア)の設置、キッチン・バスなどを設置した場合の換気設備、地下室の湿度を調整するエアコンの設置が求められる。

その他、外壁や床についても充分な防水機能を確保しなければならない。

特にマンションタイプは要注意

マンションタイプでは、建築確認取り消しの判決が出ているケースもある。

実は、過去に地下室に関する容積率の緩和後、第一種低層住居専用地域のような規制の厳しいエリアで、9階建て(地上3階地下6階)のようなマンションの建築が続出した。

法規上、自治体は傾斜地に作られるこうしたマンションの建築確認申請を認可せざるを得ない。デベロッパー側は容積率緩和の盲点を突いた訳だが、一方で周辺住民との紛争も相次いだ。

その後自治体による上乗せ規制が建築基準法により認められ、傾斜地の多い横浜市などでは厳しい規制が課せられるようになった。

規制内容は自治体によって異なる。横浜市では地階も含めて建築可能な階数を5階又は6階に制限、文京区では地盤面を建物の最下部を地盤面に定めて近い部分も容積率に算入するようにした。

規制が課せられても、規制前に建築されたマンションが直ちに「違法建築物」に該当するわけではない。ただし、「既存不適格建築物」として扱われ、増築や建て替えの際は著しい制約を受ける。中古物件購入の際に、こうしたマンションは注意すべきであるだろう。(ZUU online編集部)

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