資産運用業を対象にした調査で、2016年の運用資産残高は69.1兆ドルと前年から6%増えたにもかかわらず、アセットマネージャーの利益が減ったことなどが分かった。前年比でアセットマネージャーの利益が減るのは2008年の金融危機以後、初めて。調査はボストン・コンサルティング・グループ(BCG)が実施した。

運用資産残高の拡大は金融市場における資産価値の上昇が大きく貢献した結果と思われるが、その一方で時代の変化への対応に追われるアセットマネージャーに対する圧力も増している。こうした背景から、「未来の資産運用業環境はまったく違うものになる」との見方もでている。

資産運用業を取り巻く環境も変化は避けられない?

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(写真=Thinkstock/Getty Images)

前金融危機後の規制強化や長引く後遺症の影響が感じられたにも関わらず、2016年の運用資産残高は6%増。成長率がわずか1%だった前年と比較するともちろんのこと、2008年以降最高の伸びとなった。

しかしBCGはこうした跳躍は「金融市場自体が加熱し、資産価値が上昇したことに起因する」と冷静に分析している。つまり確固たる成長として見るには根拠が薄く、対応次第では崩れ去りかねない脆弱性を秘めている。

マネージャーの利益が減っている原因の一つは、高額な手数料への圧力かと思われる。ロボットアドバイザーを筆頭とするオンライン投資の人気も考えられるだろう。

規制改革やテクノロジーが急激に金融市場を変えつつある近年、資産運用業を取り巻く環境も変化は避けられない。こうした変化が一部のアセットマネージャーにとっては業績アップの機会となる反面、従来型のアセットマネージャーにとっては致命傷となり得る。

BCGは「未来の資産運用業のリーダー像が現在とはまったく異なるものになる」と予想している。AI(人工知能)や機械学習、ビッグデータなどの革命的テクノロジーを活用して、新たな手法を生みだす機会を最大限に引きだすことができるリーダーが、次なる資産運用業になるとの見解だ。

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