金融の専門家であるFP(ファイナンシャル・プランナー)になるための試験には必ずといっていいほど出題されるのが「6つの係数」だ。

試験を受けない方にとっても、実は非常に便利なこの係数。タイトルの問いにも、係数を使うことで簡単に求める事ができる。どのようなものなのだろうか。

6つの係数とは?

お金,投資
(写真=PIXTA)

6つの係数は、「終価係数」、「現価係数」、「年金終価係数」、「年金現価係数」、「減債基金係数」、「資本回収係数」を指す。

金融にかかわったことのない人は聞いたこともないと思うが、金融の世界では基本中の基本である。FP試験を受けるのでなければ正確に覚える必要はないが、係数を使って計算するしくみを理解しておくと役に立つことがあるだろう。

【終価係数】
終価係数は、現在の資金を複利運用した場合に将来いくらになるかを求める係数だ。たとえば、100万円を2%で10年間、複利運用した場合にいくらになるかを求めるという場合に利用する。

2%で10年の終価係数は「1.219」なので、1,000,000円×1.219=1,219,000円とわかる。定期預金などで将来いくらになるかを計算するときに役にたつ。

【現価係数】
現価係数は、将来の目標金額を複利運用で達成するためには現在いくら必要かを求める係数だ。たとえば、10年後に500万円が必要で、2%の運用の場合、今いくらあればいいかを求める場合に利用する。

2%で10年の現価係数は「0.820」なので、5,000,000円×0.820=4,100,000円とわかる。教育資金や住宅取得資金などのように、目標が明確に分かっている場合に今いくら必要かを知る場合に利用できる。

【年金終価係数】
年金終価係数は、複利運用で一定額を積み立てる場合に将来いくらになるかを求める係数だ。「終価係数」の前に「年金」とついているが、これは定期的に支払いまたは受け取りが発生する場合を指す。

「終価係数」は将来いくらになるかを計算するものなので、定期的に一定額を積み立てた場合に将来いくらになるかを算出するものだとわかる。

定期的に積み立てるとなると計算は複雑になるので、年金終価係数があると簡単に計算ができて便利だ。たとえば、毎月2万円を年利2%で10年間積み立てる場合、利率が2%で、10年間の年金終価係数は「10.950」なので、(20,000円×12か月)×10.950=2,628,000円となる。

【年金現価係数】
年金現価係数は、複利運用で一定の年金を受け取るために現在必要な額を求める係数だ。こちらも「現価係数」の前に「年金」がついているので、定期的に支払いまたは受け取りが発生する場合を指す。年金支払いも計算は複雑になるので、年金現価係数があるととても便利だ。

たとえば、60歳からの10年間、2%の複利運用で毎年40万円を欲しいという場合、60歳の時点でいくらの資金を準備しておく必要があるのかを算出できる。10年間で2%の年金現価係数は「8.983」なので、400,000円× 8.983 = 3,593,000円となる。ちなみに表題も同じように計算できる。3%で30年の年金現価係数は、「19.60」なので、(8万円×12か月)×19.60=18,816,000円の元手が必要とわかる。

【減債基金係数】
減債基金係数は、目標金額を貯めるために一定額を積み立てる場合の積立額を求める係数だ。「年金終価係数」は一定額を積み立てる場合に将来いくらになるかを求める係数であるが、「減債基金係数」はその逆で、将来貯めるべき金額が決まっている場合に毎年積み立てるべき金額を求める時に使われる。

たとえば、住宅資金の頭金として500万円を10年で準備したい場合に、年利が2%なら、減債基金係数は「0.091」なので、計算式は、5,000,000 × 0.091 = 455,000となる。年間455,000円ということは毎月約38,000円になる。

【資本回収係数】
資本回収係数は、現在の資金を複利運用しながら取り崩す(年金形式で受け取る)ときの受取額を求める係数だ。「年金現価係数」は複利運用で一定の年金を受け取るために現在必要な額を求める係数だが、「資本回収係数」はその逆で、現在の手元資金が決まっていてそれを年金形式で受け取る場合の年金額を求める時に使われる。

たとえば、手元資金として3,000万円ある場合に、年利2%で10年間にわたって毎年受け取る場合にいくら受け取れるかというものだ。期間10年で年利が2%なら、資本回収係数は「0.111」なので、30,000,000円 × 0.111 = 3,330,000円となる。

係数を覚えるポイント