欲しい株式の株価が大きく値崩れしたときに、ついお買い得だと思ってしまったことのある人は多いことだろう。
かくいう筆者もかつて、爆上げしていた株が大幅下落した際に買いチャンスと思い込んで買ってしまった経験がある。しかし、実際にはそんな場面では、お買い得どころか「信じられないほど割高な状態」となっていることがしばしばある。
ここでは、お買い得とつい思ってしまうのはなぜか、そしてそれが実際には全くお買い得ではない理由を解説していきたい。
※ここでの話は主に個別株式に関する話であり、株価指数に関するものではない点に注意していただきたい
つい「お買い得」だと思ってしまうのはどうして?
お買い得だと思ってしまうのは高くて手が出ないと思っていた株価が下がるからだ。例えば、どうしても欲しいが値段が高くて買えない5万円のジャケットが、半額の2万5000円になっていたらお買い得だと思ってつい買ってしまうこともあるだろう。
これは、株でも全く同じことが言えて、高すぎる株が値段を下げて、20%、30%、50%と安くなると、それだけお買い得だと思ってしまう投資家は多いのだ。
この判断は業績を使った投資判断とは全く無関係なところにあり、むしろ投資家心理に基づく判断によるものといえる。投資判断をするのは人間のため、過去の高値を基準にして主観的にお買い得水準を決定してしまうのである。
本来であれば、この主観的な判断をできるだけ排除するため、割安・割高を判断することのできる「割安指標」を使うのがよしとされるのだが、実はPERは割高株を見抜くためには使えない場合もある。
株式市場を眺めてみると、PERが40倍、50倍でも株価を伸ばしている企業はたくさんあり、逆にPERが10倍以下でも株価は低空飛行を続ける企業もあるのが現実だ(一般にPER数値は15倍程度が適正と言われている)。