賃貸経営をしていると、空室が発生することがあるでしょう。その都度、空室対策をすることが求められますが、この空室対策をより安価でより内容の濃いものにしていくことは、不動産投資家として成功する1つの重要要素です。

一般的には、原状回復工事をいかにして効率的に完了させるかということになるのですが、この原状回復工事についてはさまざまな見解があります。今回は公的な原状回復に対する見解とともに、実際にやるべき原状回復工事のレベルについてお伝えします。

オフィシャルな原状回復の定義について

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(写真=Dmitry Melnikov/Shutterstock.com)

まずは、オフィシャルな原状回復の定義についてお伝えします。ちなみに、この見解が退去時の敷金の精算の基準になります。大家と賃借人の原状回復に対する見解が異なることが多かったため、このようなルールが制定されています。

このルールの名は東京ルールといわれています。正式には「東京における住宅の賃貸借に係る紛争の防止に関する条例」といい、2004年10月に制定された東京都の条例です。
 このルールでは、借り主が負っている「原状回復」義務を、借りた当時と同じ状況に戻すということではなく、借り主の責任によって傷ついた壁や床、不具合が起こっている装置などを修復することと述べられています。

借り主の責任ではない、経年劣化に起こる自然消耗に対する修繕は原状回復義務に含まれていないため、貸し主の負担となっています。しかし、大家は経年劣化だからといって、修繕しないわけにはいきません。次の入居者を早く獲得するためには、汚れている部分をきれいにしておくことが必要です。

したがって、この東京ルールというのは賃借人保護よりのルールといえるでしょう。

原状回復工事の目安及び費用

入居者付けを考えると、部屋をきれいに見せるためにより多くの工事をしておきたいところですが、賃貸経営はビジネスです。入居者募集においてより必要な部分のみ修繕するというマインドは持たなければなりません。

その中で、やっておくべき原状回復工事は、壁紙の貼り替え、汚れた床の張り替え、ルームクリーニングの3点です。壁紙の貼り替えの相場は、東京であれば1平方メートル当たり900円台というイメージです。

壁紙は見積業者によって同じ部分であっても、寸法の測り方が異なるため、違う面積を出してきます。単価は安いけど、面積が広く最終的な費用は変わらないなんてこともあり得るので、単価だけでなく見積もりの面積も確認するようにしてください。

そして、床の張り替えですが、大きくフローリング、クッションフロア、カーペットがあります。カーペットはほこりなどが発生することもありますし、見た目の印象があまり良くないので、基本的に使用することはありません。

そうなると、フローリングもしくはクッションフロアになるのですが、クオリティは断然フローリングです。ただし、フローリングの方がコストは大分高くなります。クッションフロアが1平方メートル当たり3,000円いかない程度なのに対して、フローリングの場合は8,000円は超えてきます。高い施工会社になると1平方メートル当たり10,000円を超えてくる会社もあります。

クッションフロアはさまざまなデザインがあり、木目のものを使用すれば見た目はフローリングとさほど変わりません。自分が住む予定がない賃貸物件であれば、クッションフロアの方が効率は良いです。

ルームクリーニングも部屋の広さによって異なりますが、ワンルームで5万円程度、ファミリータイプ50平方メートル程度の部屋で7万円程度というイメージです。ルームクリーニングについては、施工会社によってさほど費用の差はつきません。固定手数料と思って見積もるようにしましょう。

その他の細かい工事は、その時々によって異なってきます。コストを削減したいときは「必要最低限の原状回復工事のみ」と見積会社に伝えると、少ない工事で見積もってくれますので、ぜひお試しください。(提供:Incomepress


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