経済政策や国家財政を語る上で国債の重要性は言うに及ばない。しかし、世に溢れる国債に関する情報はデタラメばかりであり、だから経済においてもトンデモ論が蔓延っているのではないか。国債を理解することで経済の本質を理解できるというコンセプトのもと、国債と日本経済の真実について論じている。
『99%の日本人がわかっていない 国債の真実』
著者:高橋洋一
出版社:あさ出版
発売日:2017年7月14日
国債の基礎知識を分かりやすく解説
国債の重要性を理解しつつも、詳しい内容はよく知らないという人が多いのではないだろうか。「金利と利回りの違い」「国債の価格が上がると利回りが下がる」「将来金利が上がると予想されると国債の価格が下がる」といった概念や、国債を償還した後で新しく発行して乗り換えること(用語的にはロールオーバーという)の意味などは普段なじみが無いために難しく感じてしまう。
本書は旧大蔵省(現財務省)で国債の売買を担当していた著者が、国債の仕組みや概念を平易な言葉で解説しているため理解しやすいのが特徴だ。「将来金利が上がると予想されると国債の価格が下がる」理由などは、読んだときには理解できても、読み進めているうちにうろ覚えになってくるが、付箋などを貼ってその都度読み返せば理解も深まっていくだろう。
今後、経済成長率が上がりインフレ率も高まると新発国債の固定金利も上昇することが考えられるが、仮に償還期限が10年の国債があったとして、あとから金利が5%上がったとしたら、その国債の価格は単純計算で何%下がるかという問いに答えられない場合は、考え方が本書にあるのでぜひ読んでもらいたい。