売り上げ不振にあえぐ韓国・現代自動車グループが、カーシェアリング事業の拡大に乗り出している。

グループ傘下の起亜自動車が2017年8月にカーシェアリングサービス「WiBLE」を発表し、同9月には現代キャピタルが「デリカー」サービスを開始した。現代自動車は韓国最大のカーシェアリング会社「グリーンカー」を通して、2017年10月17日から同12月16日まで小型SUV車コナの3時間無料体験を行なっている。

カーシェアリングは消費者が自動車を購入することなく利用できるサービスであり、自動車の製造販売を行う現代自動車のビジネスとは相反するが、国外の不振に加えて、若者の現代車離れが深刻となっている。

低迷する中国・米国市場

韓国経済,自動車産業
(画像=販売不振が続く現代自動車・退渓路店(写真=筆者、2017年11月撮影))

現代自動車の2017年1月から9月期の純利益は3兆2585億ウォン(約3295億円)で、2012年同期7兆1637億ウォンの半分以下となっている。7月から9月期の連結ベースの売上は前年同期比9.6%増の24兆2013億ウォンだったが、2016年は7月19日から10月12日にかけて現代労組が行なった計24回のストライキの影響による落ち込みが大きく、業績回復とはみなしにくい。

純益が急減した主な要因は中国と米国の不振にある。中国市場の販売台数は30.1%減の54万9000台、米国市場も12.9%減の51万7100台にとどまり、中国や米国など主要生産工場の稼働率の低下と在庫の増加で、固定費負担が増えたことが大幅な減益に繋がっている。

海外市場の低迷で、現代・起亜自動車は、2017年10月26日、グローバル事業の再編に取り組むと発表した。これまで北米地域の市場戦略と販売状況は現地の販売子会社が本社の海外営業本部の指示を受け、生産状況は本社企画室の指示を仰いできた。従来、別々に行われてきた販売と生産を一元で管理する圏域本部を新たに設置し、意思決定の権限を移譲する計画で、2018年から北米市場とインド市場に導入する。現地のことを現地で判断できる新体制に期待をかけている。

若者の現代車離れは韓国でも

現代自動車グループは韓国内の販売も見直すが、そのひとつがカーシェアリングだ。

カーアシェリングサービス「グリーンカー」は利用者の73%を20代が占めており、将来、自動車を購入する潜在顧客に価格と品質をアピールしようという狙いがある。

市場のトレンドは現代車に不利な状況が続いている。輸入車業界がプジョー2008、シトロエン・カクタス、BMWミニクーパー、フィアット500、日産アルティマなど、韓国市場に2000万ウォン(約200万円)台の車を投入し、20代、30代の消費者が輸入車を選択するケースが増えている。

2013年まで70%から80%と安定していた現代・起亜自動車の韓国内シェアは、2014年以降60%台が続いているが2016年に現代車を購入した人のなかで20代は7.7%、起亜車も7.9%にとどまるなど、若者の現代車離れが著しいのだ。

コナの無料試乗は、価格と品質のアピールに加え、‘未来の消費者’の改善や要求を取り入れる場としてしたい考えもある。

成長が停滞した現代自動車が、レンタカー市場で法人向け販売を拡大しようという苦肉の策という見方もある。現代車グローバル経営研究所は前年に1000億ウォン台だった国内カーシェアリング市場が2017年は1800億ウォンに成長すると見込んでいるという。

カーシェアリング事業者は利用者が増えると自動車を多く購入する必要がある。人口が減少しているなか、事業者は自動車企業にとって無視できない市場になると専門家は分析している。(佐々木和義、韓国在住CFP)

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