三越伊勢丹が本格的なリストラに乗り出した。今期はまだ減益予想だが四半期ベースでみると業績が急回復している。百貨店業界はEC販売の拡大で世界的に苦境にある。米国でも名門百貨店の身売りの話題がつきない。三越復活のビジョンに迫ってみたい。

上期決算は復活を思わせる増収益を達成

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(画像=PIXTA)

三越伊勢丹HD <3099> は日本最大の百貨店である。老舗の高級百貨店三越と新宿メンズ館で紳士服に強みを発揮する伊勢丹が2008年に経営統合した。

前17年3月期は売上が前期比2.6%減の1兆2534億円、本業の利益を表す営業利益が同27.7%減の239億円だった。小売業のEC化に浸食され、百貨店の主力である衣料品や宝飾・時計等の高額品の動きが鈍く購買単価が低下したことで苦戦した。決算発表時の5月10日に発表した今期の業績予想も、売上は0.9%増の1兆2650億円と増加を見込んだものの、営業利益は24.8%減の180億円と減益予想だった。

11月7日に発表した18年3月期上期(4〜9月)の決算は、売上は前年同期比2.2%増の5952億円とプラスに転じ、営業利益も同25.4%増の76億円と悪くない決算だった。通期の減益予想を据え置いたため翌日の株価は10円(0.8%安)と反応薄だったが復活を感じさせる決算だ。株価上昇、高水準のインバウンド旅行客に支えられ売上は改善傾向。店舗の統廃合による収益改善効果が出はじめた。

通期営業利益予想に対する進捗率は42.5%と前年同期の25.5%を大きく上回っている。百貨店業界は年末需要や重衣料需要の高まる下期のウェイトが高いため、繁忙期の下期への期待は大きい。

世界的に百貨店事業は再編の目玉に