最近は共働きの世帯が増え、妻の収入も家計における大きな収入源になっている。そのため、妻に万が一のことがあった場合、家計にも影響が及ぶ。ところが、遺族が「夫」か「妻」かによって受け取れる年金額が違うということを知っているだろうか。

遺族年金とは?

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(画像=PIXTA)

年金というと老後の生活資金としか思っていない人が多いと思うが、一定程度の障害を負った場合や遺族にも条件を満たせば年金は支給される。今回テーマの「遺族年金」は、そのひとつだ。遺族年金には、「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」とがある。遺族基礎年金は年金加入者すべての遺族が対象で、遺族厚生年金は、サラリーマンなどの厚生年金加入者が対象だ。

遺族基礎年金の支給条件は、亡くなった人によって生計を維持されていた「子のある配偶者」または「子」になる。ここで注意が必要なのは、「子がいない配偶者」は遺族基礎年金の対象になっていないことだ。また、子は、18歳までなので、18歳以上の大学生などは対象にならない。

生計を維持されていたかの判断は、遺族の年収が850万円未満であるかどうかによる。850万円以上の収入があれば、自分で生活を維持できると判断されるわけだ。支給額は、77万9300円に子の加算分を加えた額となる。子の加算分は、第1子、第2子が各22万4300円で第3子以降は各7万4800円になる(平成29年4月以降) 。

一方、遺族厚生年金の支給条件は、亡くなった人によって生計を維持されていた「妻」、「子」、「孫」と、亡くなった人によって生計を維持されていた55歳以上の「夫」、「父母」、「祖父母」(いずれも支給開始は60歳から)となっている。遺族基礎年金と異なり、対象範囲が広いことと、「子がない妻」でも受け取れる点が異なる。

なお、「子」や「孫」の年齢条件は、18歳で遺族基礎年金と同じである。また、遺族基礎年金が「配偶者」としていたのに対し、遺族厚生年金は、「妻」か「55歳以上の夫」というように性別によって区別している。妻は基本的に年齢制限がなく受け取れる(例外:夫死亡時に30歳未満の場合には5年間のみ)のに対し、夫の場合には55歳未満だと受け取れない。

しかも、妻の場合、夫が死亡した後すぐに年金が受け取れるのに対し、夫の場合、仮に55歳であっても、受け取れるのは60歳からとなっている 。男性も女性も同じ保険料を払っているのに支給内容は極めて不平等の内容になっている。実は、遺族基礎年金も2014年までは妻が亡くなっても夫には支給されていなかった。それが時代にそぐわないとして「配偶者」に改められたのだが、遺族厚生年金はそのまま放置されたのだ。

具体例で見ていくと……

夫婦ともに会社員のA子さん(40歳)と、B男さん(45歳)で10歳の子どもを育てている場合で考えてみる。年収は2人とも約400万円で、夫の給料から住宅ローン(残高3000万円)を支払い、生活費は妻の給与で賄っている。

【B男さんが亡くなった場合】

A子さんは「子のある配偶者」なので、遺族基礎年金を受給できる。遺族基礎年金の額は、77万9300円に子の加算分22万4300円を加えて100万3600円になる。この金額は子どもが18歳になるまで支給される。

子どもが18歳になった以降は、遺族基礎年金は受給できなくなるが、代わりに中高齢寡婦加算(年額58万4500円 )が65歳まで支給される 。さらに、B男さんは会社員だったので、A子さんは遺族厚生年金も受給できる。遺族厚生年金は、過去の報酬によって額が決まるため計算は非常に複雑なので、便宜的に年額50万円とする。

したがって、年額は約150万円ということになる。また、住宅ローンは通常、団信という保険に加入しているため、B男さんが死亡後は住宅ローンの支払いは不要になる。住宅ローンの支払いが不要で、自分の給与の他、年額150万円がもらえるのであれば生活に支障はないだろう。40歳から65歳までの支給総額は、25年×約150万円=約3750万円になる。

【A子さんが亡くなった場合】

これに対し、A子さんが亡くなった場合、B男さんも、遺族基礎年金100万3600円は受給できる。しかし、子どもが18歳になった以降は、遺族基礎年金は受給できなくなる。

A子さんは会社員だったので、遺族厚生年金が受給できそうであるが、B男さんは55歳未満なので、受給できない。したがって、年額は約100万円になる。また、住宅ローンはA子さんが死亡しても残るので、B男さんが払い続けなければならない。住宅ローンの支払いを続けながら、年額100万円を8年間しかもらえない。40歳から65歳までの支給額は、8年×約100万円=約800万円になる。

このケースでは、夫が亡くなる場合と妻がなくなる場合とでは約3000万円も違うことになる。住宅ローン残高3000万円も考慮すれば、6000万円もの違いになるのだ。

このように、共働きの夫婦において、夫が亡くなる場合と妻がなくなる場合とでは、受け取れる年金額に大きな違いがある。一般的に夫に高額の保険を掛けるケースが多いが、遺族年金の受給で考えると共働きの場合には、むしろ妻に高額の保険を掛ける必要がある。もし、共働きで妻の保険はあまりかけていないという場合には一度保険を見直しおくことをお勧めする。(ZUU online 編集部)

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