日経平均株価は11月に、96年6月につけたバブル崩壊後の戻り高値2万2666円を更新した。デフレ高値更新は、「失われた25年」と言われたデフレがいよいよ終演することを象徴しているという見方もある。かつて賑わった「デフレ関連銘柄」の足下の動向をチェックしておこう。

デフレ勝ち組は株価が低迷期に大活躍

デフレ企業,勝ち組
(画像=Thinkstock/Getty Images)

デフレ関連銘柄は、低価格を武器に節約志向層に支持されて収益を伸ばしていた会社だった。その代表が、アパレルでは日常衣料品を低価格で提供するしまむら <8227> であり、外食では価格破壊で市場を活性化した牛丼のすき家のゼンショー <7550> 、日本マクドナルド <2720> 、サイゼリヤ <7581> 、ハイデイ日高 <7611> であった。小売では低価格高品質な家具・インテリアのニトリ <9843> 、ディスカウントストアのドンキホーテ <7532> 、100均のセリア <2782> がデフレで売上を伸ばした。

デフレ勝ち組を代表する8社の10月末の株価を、デフレ時期を含む過去10年(分割調整済)と株価がデフレ後高値となった過去1年のパフォーマンスで比較してみた。

TOPIXは過去10年で9.0%高とデフレによる低成長下で株価は上がらなかった。デフレの勝ち組で過去10年間にTOPIXを下回るパフォーマンスだったのはしまむらだけ。セリアが約40倍になったのを筆頭に、日高とニトリが約6倍、ドンキホーテが約4倍、マクドナルドが約2倍超になっている。唯一下げた、しまむらは早くからデフレの勝ち組として注目されたため、過去15年でみると4.1倍になっている。

一方、過去1年でTOPIXは+26.8%高だった。TOPIXを上回る上げを続けたのは、マクドナルド、セリア、日高、ニトリの4社に減った。ただ各社とも戦略を安売りから変えている事を評価されている。他社はTOPIXを下回り、しまむらはマイナスに転じた。

1. しまむら<8227>

17年10月末:12620円
過去1年:▲6.2%
過去10年:+13.1%

17年2月期は過去最高益更新。今18年2月期の会社予想売上は+4.9%、営業利益+4.9%。既存店の動向は11月度で11.0%減と3ヶ月連続でマイナスに転じている。10月2日に今期の営業利益予想を567億円から512億円に9.7%下方修正した。既存店不振、下方修正で株価は下落基調。11月に年初来安値を付けている。

2. ゼンショー<7550>

17年10月末:2101円
過去1年:7.1%

過去10年:79.9%

今18年3月期は9.0%増収14.5%営業増益を予想。10月8日に発表した17年7〜9月決算では四半期ベースでは18.9%の営業減益だった。過去最高の営業利益は12年3月期から更新していない。人件費高騰の影響が大きいため今年度中の牛丼値上げを発表した。デフレ期には吉野家との値引き競争で市場の拡大を牽引していたが、現在はM&Aによる売上拡大路線を取っている。

3. 日本マクドナルド<2702>

17年10月末:4870円
過去1年:61.3%
過去10年:2.4倍

今17年12月期の売上は9.6%増、営業利益は2.4倍を予想している。ただ衛生管理問題などで14年、15年と赤字転落し、リストラの最中だ。営業益での過去最高益は99年12月期以来更新していない。デフレ期の100円マックに代表される価格破壊政策から高付加価値商品へと舵を切ったことで既存店の売り上げが好調に推移している。11月8日発表の17年12月期第3四半期決算で、営業利益は4.0倍に拡大した。通期上方修正含みだ。

4. サイゼリヤ<7581>

17年10月末:3495円
過去1年:26.2%
過去10年:73.4%

18年8月期の売上は5.2%増、営業利益は11.4%増と今期も2桁の増益を予想している。デフレ期には低価格ながらコストパフォーマンスの高いサービスで勝ち組となった。前17年8月期の既存店売り上げは2.6%増とちょい飲み需要を取り込みながら好調を継続している。ただ営業益ベースでは10年8月期の過去最高益を更新していない。アジア出店を拡大している。

5. ハイデイ日高<7611>

17年10月末:3320円
過去1年:52.1%
過去10年:6.9倍

17年2月期に過去最高益を更新した。今18年2月期の売上は3.9%増、営業利益は3.0%増の予想。日高屋もちょい飲み需要を取り込み成長を持続している。既存店売り上げは9月まで7ヶ月連続で前年実績を上回る。ただ17年6〜8月の四半期は人件費高騰の影響で6.4%営業減益になった。

低価格ラーメンチェーンで競合する幸楽苑 <7554> はラーメンを290円から100円値上げしたことで需要の減退を招いた。全店の約1割に相当する52店舗を閉鎖することになり、赤字転落が予想されている。ラーメン業界もデフレとの決別が始まった。

6. ニトリ<9843>

17年10月末:16455円
過去1年:30.9%
過去10年:6.3倍

17年2月期は過去最高益を更新。今18年2月期も売上10.7%増、営業利益15.4%増と2桁の増収益を見込む。11月の既存店売上は天候不振の影響で5ヶ月ぶりにマイナスに転じたが、自社開発商品比率、海外輸入比率を上げることで好調を続けている。 郊外型のテナントで拡大してきたが、都心店出店を加速しはじめた。銀座、新宿、池袋に出店。渋谷にも進出を決めた。

7. ドンキホーテ<7532>

17年10月末:6460円
過去1年:18.5%
過去10年:4.1倍

17年6月期に過去最高益更新。今18年6月期は売上7.4%増、営業利益7.8%増を見込む。既存店は18年6月期7〜9月で4.8%増と好調持続している。メガドンキホーテの出店で食品部門が拡大している。17年8月にはユニー・ファミマ<8028>との提携を発表した。ディスカウントショップからの本格的転身をすすめている。

8. セリア<2782>

17年10月末:1228円
過去1年:55.7%
過去10年:40.9倍

17年3月期に過去最高益更新。今18年3月期は9.4%増収、12.1%営業増益を予想。10月31日発表の18年3月期上期は予想を上回る実績となり、通期営業利益予想を166億円から170億円に2.4%引き上げた。ショッピングモールへの出店、独自の商品設計、「セリアカラー・ザ・デイズ」という色の綺麗な商品のラインナップで好調を続けている。

10月の既存店売り上げこそ0.7%減とマイナスだが、それまでは6ヶ月連続でプラスを維持し17年3月期上期の既存店売り上げは3.3%増。

デフレと消費スタイルの変化で苦戦した主力企業の動向

一方で百貨店やスーパーマーケットといった日本の消費を担ってきた企業は、デフレによる低価格志向の高まりやネット販売との競争激化といった消費スタイルの変化で収益が伸び悩み、淘汰、再編を余儀なくされた。過去10年で三越は1.9%高、イオンは▲3.0%とデフレ期の株価は低迷した。今年1年ではまだTOPIXの上げにこそかなわないが株価は堅調に転じた。

1. 三越伊勢丹ホールディングス<3099>

17年10月末:1228円
過去1年:+15.6%
過去10年:+1.9%(注:08年4月1日上場時株価比較)

営業利益の過去最高は14年3月期。今18年3月期は売上0.9%増、営業利益は24.8%の減益を見込む。減益予想は店舗統廃合、在庫削減など構造改革、人員削減を優先するため。もっとも11月7日発表の18年3月期上期の営業利益は25.4%増と大幅増益だった。10月既存店はインバウンド回復、株価の上昇などをうけて高額品が好調で0.6%増。5ヶ月連続のプラスだった。デジタル化と不動産でビジネスモデルの転換を進めている。

2. イオン<8267>

17年10月末:1750.5円
過去1年:+20.5%
過去10年:▲3.0%

スーパー部門の不振から営業益での過去最高は12年2月期でそれ以来更新していない。今18年2月期は売上1.1%増、営業利益8.3%増を予想している。スーパー部門であるイオンリテールの既存店マイナスのトレンドは変わらないが食品部門のPBが健闘し横ばいになりはじめた。GMSの不振をドラッグストア部門や不動産部門、金融部門で支えて増収益になるパターンが定着し始めている。23日から26日ではじめたブラックフライデーセールも好調だったようだ。

デフレ勝ち組も価格破壊だけでは成長できなくなってきた。人件費高騰もコストアップ要因で、鳥貴族、すき家、日高屋などが値上げを打ち出し始めた。デフレの負け組も新しいビジネスモデルが定着してきている。消費スタイルの変化にともなう業界の構造改革はこれからも続きそうだ。

平田和生(ひらたかずお)
慶応大学卒業後、証券会社の国際部で日本株の小型株アナリスト、デリバティブトレーダーとして活躍。ロンドン駐在後、外資系証券に転籍。日本株トップセールストレーダーとして、鋭い市場分析、銘柄推奨などの運用アドバイスで国内外機関投資家、ヘッジファンドから高評価を得た。現在は、主に個人向けに資産運用をアドバイスしている。

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