新築分譲マンションのセカンドオピニオン「住まいサーフィン」を運営するスタイルアクトは、1都3県(東京、神奈川、埼玉、千葉)で各公立小学校区内に居住する世帯の最終学歴や推計世帯年収、新築マンション価格についての調査し、その結果を公表した。

調査によると、四大卒以上の割合が高い学区では、推計世帯年収やマンション購入時の時価も高くなる傾向がみられ、一定の相関関係があることが明らかになった。また、上位にランキングしている学区は、マンション購入希望者においても非常に人気の高い地域と考えられ、物件を選択する際に学区も含めて検討されている傾向がうかがえる。

1都3県の四大卒以上割合1位は千代田区の「番町小校区」に

高学歴,小学校,学区
(画像=PIXT))

調査は「住まいサーフィン」が行った各小学校通学地域での「推計世帯年収」・「沖式新築時価」と国勢調査の最新である2010年「最終学歴が四大卒以上の割合」を元に算出された。四大卒以上の割合ランキングと推計世帯年収、新築時価との関係性を比較してみよう。結果は四大卒以上の割合がもっとも高い学区からランキングされている。

・東京都
順位 行政区/小学校区名/四大卒以上割合/推計世帯年収/推計70平米価格
1位 千代田区/番町小学校区/64.3%/1151/10,800
2位 世田谷区/明正小学校区/58.9%/972/7,100
3位 大田区/田園調布小学校区/58.2%/1016/7,000
4位 港区/白金小学校区/58.1%/1174/8,900
5位 千代田区/麹町小学校区/58.0%/1108/11,100
6位 千代田区/九段小学校区/57.6%/1032/12,800
7位 新宿区/落合第四小学校区/57.0%/840/7,500
7位 中央区/阪本小学校区/57.0%/961/6,300
7位 品川区/御殿山小学校区/57.0%/1036/7,400
7位 江東区/豊洲北小学校/57.0%/829/6,100

・神奈川県
順位 行政区/小学校区名/四大卒以上割合/推計世帯年収/推計70平米価格
1位 川崎市麻生区/麻生小学校区/60.7%/949/5,100
2位 横浜市青葉区/あざみ野第二小学校区/58.5%/955/4,700
3位 横浜市青葉区/美しが丘東小学校区/56.7%/1016/5,900
4位 横浜市青葉区/美しが丘小学校区/55.9%/963/6,000
5位 川崎市宮前区/土橋小学校区/55.8%/1028/4,800
6位 横浜市戸塚区/東品濃小学校区/55.2%/727/4,900
7位 川崎市宮前区/富士見台小学校区/54.8%/985/5,200
8位 横浜市戸塚区/品濃小学校区/54.7%/731/4,000
9位 川崎市宮前区/宮前平小学校区/54.1%/1044/4,700
10位 川崎市幸区/東小倉小学校/53.9%/887/4,200

・埼玉県
順位 行政区/小学校区名/四大卒以上割合/推計世帯年収/推計70平米価格
1位 富士見市/ふじみ野小学校区/49.8%/559/3,900
2位 さいたま市浦和区/仲町小学校区/49.0%/836/4,600
2位 和光市/第三小学校区/49.0%/722/4,600
4位 さいたま市浦和区/岸町小学校区/48.7%/812/4,800
4位 さいたま市浦和区/高砂小学校区/48.5%/750/5,000
6位 和光市/本町小学校区/48.1%/773/4,800
7位 さいたま市浦和区/常盤小学校区/47.4%/850/4,400
8位 さいたま市南区/浦和別所小学校区/46.6%/784/4,500
9位 さいたま市浦和区/仲本小学校区/46.2%/757/4,600
10位 さいたま市中央区/上落合小学校/45.9%/862/4,200

・千葉県
順位 行政区/小学校区名/四大卒以上割合/推計世帯年収/推計70平米価格
1位 浦安市/日の出南小学校区/59.5%/956/4,300
2位 千葉市美浜/打瀬小学校区/58.9%/1064/3,800
3位 千葉市美浜区/美浜打瀬小学校区/58.6%/1055/3,300
3位 浦安市/日の出小学校区/58.6%/1015/4,500
5位 千葉市美浜区/海浜打瀬小学校区/58.5%/1041/3,800
6位 浦安市/明海南小学校区/58.2%/924/-
7位 浦安市/明海小学校区/54.8%/831/4,600
8位 浦安市/高洲小学校区/52.7%/927/-
9位 千葉市花見川区/瑞穂小学校区/48.0%/904/-
10位 市川市/八幡小学校/47.2%/858/4,900

総合ランキングでは、1位が千代田区・番町小学校区(64.3%)、次いで2位が川崎市麻生区・麻生小学校区(60.7%)、3位が浦安市・日の出南小学校区(59.5%)となっている。

総合で1位となった番町小学校区は公立名門小学校としての知名度が高く、過去多くの著名人を輩出していることでも知られている。また、2017年公示価格で最も高額な住宅地を含んだ学区でもある。総合2位となった麻生小学校区は、新百合ヶ丘駅近隣が学区内となっており、大手財閥系デベロッパーの大規模分譲マンションも多く、過去には大手企業の社宅なども学区内に存在する。また、総合3位となった日の出南小学校区は、新浦安駅の南側に1970年代から80年代以降開発された、大手財閥系デベロッパーの大規模分譲マンションや大規模な戸建分譲区画、大手企業の社宅なども学区内としていることなどが、上位にランキングされた要因になっていると考えられる。

推計世帯年収との関係を見てみよう。1都3県の推計世帯年収総合ランキングでは、1位は港区・白金小学校区(1174万円)、次いで2位が千代田区・番町小学校区、3位が千代田区・麹町小学校区となり、上位にランキングされた学区は、四大卒以上割合の上位と重複していることが分かる。

また、マンションの新築時価の調査(70平米換算で算出)では、1位は千代田区・九段小学校区(1億2832万円)、次いで2位が千代田区・麹町小学校区(1億1117万円)、3位が千代田区・番町小学校区(1億842万円)、4位が港区・白金小学校区(8851万円)、5位が新宿区・落合第四小学校区(7517万円)というランキング結果となり、ここでも四大卒以上割合のランキング学区が上位という結果となった。

上述から、四大卒以上の割合ランキングと推計世帯年収、新築時価には、一定の相関関係があることが明らかになった。子育て世帯が新築マンションを選ぶ際、通勤時間やアクセスの良さなどを重視することはもちろんだが、学区としての住環境も重要視するなど、様々な観点から物件選びを検討していると考えられる。

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居住地に左右されない「学校選択制」を利用する人も

本来、「学区制」は住んでいる住所によって就学すべき学校があらかじめ決められている。そのため、「居住地」をどこにするかは子育て世帯にとっては重要視する要素となる。しかし、地域にもよるが、各区市町村教育委員会では就学校を指定することができる「学校選択制」を設けている。

当該区市町村内のすべての学校について選択できる「自由選択制」、ブロック内の学校について選択できる「ブロック選択制」、隣接する区域内の学校について選択できる「隣接区域選択制」、特定の学校について区域に関係なく選択できる「特認校制」、特定の地域に居住する者について学校を選択できる「特定地域選択制」などは、住所地以外の学区の学校にも就学することができる。どの制度が利用可能であるかは、各区市町村で決められているため、しっかりと確認するとよいだろう。

また、「学校選択制」とは別に、家庭環境の複雑化や転校による児童の教育環境への配慮などから一定の期間を設けて学区外からでも就学可能になる「許可制度」もある。

許可できる理由として、「小学校途中の転居」や親の「勤務先の都合などにより学区外の学童保育を利用していること」などを含め17項目の理由に該当し許可がおりれば学区外でも就学できる制度である。

もちろん、希望の学区、学校を選択したとしても、子供の将来性が確定されるわけではないが、上述の学区制度を利用して、学区外から希望とする学校へ就学させているケースは少なくない。むしろ、教育熱心である家庭のほうが積極的に制度を利用としている傾向がある。学習カリキュラムやスポーツなど、公立の小・中学校であっても各学校に特色があるため、我が子に様々な観点での教育環境を整えたいと考えるのはごく自然の流れなのかもしれない。(岩野愛弓 宅地建物取引士、住宅専門ライター)

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