2020年の東京オリンピックを控え、インバウンドの増加や建設費の高騰、投資家の強い需要といった理由を背景に、東京都内とりわけ23区内では地価の上昇が続いています。その一方で、日本全体の少子高齢化や人口減少を理由に、オリンピックを境にして不動産の資産価値は下落に転じるという声も少なくありません。

その一方、再開発が進行する地域では依然として好調を持続しているため、不動産投資家の多くは将来の再開発プロジェクトを注視しています。現在、都内で進められている注目すべき計画にはどんなものがあるのでしょうか。プロジェクトの概要を押さえておくことで、オリンピック後のトレンドを予測するのに大いに参考になるはずです。

都心の不動産投資は再開発エリアに注目?

Tokyo 2020
(写真=NikoNomad/Shutterstock.com)

不動産投資の戦略を考えた時、人気のある都心の物件を狙う人は多いのではないでしょうか。投資金額が高いため利回りは地方物件より低くなる傾向がありますが、高い賃貸需要が見込め、安定的な家賃収入と将来に続く資産価値が計算できるのが都市部の物件の強みです。

どの地区を狙うのかは難しいところですが、将来的な資産価値の上昇を考慮する時、再開発エリアの周辺は注視すべきエリアです。老朽化した建物や資産価値の低い物件が多い地区でも、大規模な再開発によって人気地区へ変貌するケースも珍しくありません。

現在も、都心の複数の地区で大規模な再開発が進められていますが、これから動き出すプロジェクトも多くあります。2017年に入って4度、開催されている内閣府の国家戦略特別区域会議ですが、9月4日の第18回会議では八重洲二丁目や虎ノ門・麻布台など4件の計画が認定に向けて動き出すなど、都内の再開発事業は今後も進められていくと考えられます。

注目の再開発エリアとその内容

ここからは、都心の再開発プロジェクトの中でも注目すべきエリアを5つご紹介します。

一つ目は、山手線の品川~田町間のエリア。2020年には品川駅と田町駅の間に新駅の設置が予定され、現在も品川駅周辺も含めたエリアの大規模な再開発が進められています。2024年本開業を目指す新駅では、コンコース階に約1000平方メートルの吹き抜けを設け、駅の改札内に約300平方メートルのスペースを創るなど、駅と街を一体的な空間にする計画が明らかになっています。

新駅の近く、都営浅草線と京浜急行線が乗り入れる泉岳寺駅周辺でも、駅機能強化や市街地整備が並行して進められる予定となっています。また、2027年には品川駅に新設されるリニア中央新幹線の駅が開業するなど、今後品川~田町地区は東京の新名所として注目を集めそうです。

二つ目のエリアは渋谷です。2012年には駅東口に「渋谷ヒカリエ」がオープンし注目を集めましたが、再開発プロジェクトは現在も七つ進められています。2017年4月に「渋谷キャスト」が開業したのを皮切りに、旧渋谷駅南街区の渋谷ストリーム、渋谷代官山Rプロジェクト、渋谷駅街区など、2027年までに次々と開業を予定しています。「若者の街」と呼ばれる渋谷は、多様なライフスタイルを取り込んださらに魅力的な街へ進化することが期待されています。

三つ目に挙げたいのは、虎ノ門エリアです。近年、虎ノ門ヒルズや赤坂インターシティ AIRなどの施設がオープンしていますが、今後もオフィスビルを中心とした大規模な複合施設の建設ラッシュが続きます。2019年開業予定の虎ノ門ヒルズビジネスタワーとレジデンシャルタワーの建設をはじめ、国際教育施設も整備し、インターナショナルなビジネス街を整備する計画があります。

そして、四つ目は大手町・丸の内エリア。東京駅周辺では再開発も進められていますが、その他にも、高度経済成長期に建てられ老朽化したオフィスビル群の大規模な建て替えも予定されています。特に、2027年完成予定の常盤橋再開発プロジェクト「B棟」は注目の計画。地上61階・地下5階、高さ約390メートルで、アベノハルカスを超えて日本一の高さとなる予定です。

最後に、五つ目は日本橋エリアです。2000年前後から再開発が進み、COREDOなどの新たなランドマークが登場した地区ですが、2017年以降はさらに再開発や整備が進められる予定です。2018年度の全体竣工を目指し日本橋二丁目地区の市街地再開発が進んでいるほか、一丁目中地区では、2025年度竣工の総延べ49.9万平方メートルにも及ぶ大規模な計画が進行中です。

都心再開発でオリンピック後も資産価値は向上するか

このように、2020年代中盤に向け、都内中心部ではいくつもの大規模な再開発計画が進められており、オリンピック後に資産価値の上昇する地域や物件もあると考えられます。

東京都では2020年オリンピックが全国に及ぼす経済効果は大会招致が決まった2013年~2030年までの18年間で約32兆円の効果があると見積もっています。オリンピックに向け交通インフラの整備や訪日観光客の増加などが要因とされています。

また、都心部の再開発地域は投資の収益率が高く、再投資を呼び込む状況も珍しくないほか、ロンドンなどを例にとっても、オリンピック後に地価が下落しなかったというデータもあります。ロンドンオリンピックを参考にした東京都の発表によるとオリンピックの経済効果は大会後、10年ほどは継続するとの意見もあります。 東京の各エリアで再開発が行われ、都市としての機能や魅力が向上すれば、ますます東京に人や仕事が集まることになるでしょう。こうしたことを考えると、東京でも、2020年以降に不動産価格が高止まりする可能性があると言えるのではないでしょうか。

不動産投資は中長期で資産を形成していく投資です。安定的な家賃収入が魅力ですが、一方で家賃収入からローンを返済していけば、徐々に残債も減少していきます。ローン残債より資産価値が高い時期に売却すれば、大きな売却益も期待できるかもしれません。その際、資産価値が低下しづらいのは、やはり都心の物件と言えます。再開発やオリンピック開催など、今後も東京は資産価値が落ちにくい話題に事欠きません。安定した長期の資産形成の1つとして、東京の不動産は魅力的なマーケットということができるでしょう。(提供:Incomepress

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