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全日空(ANA)や日本航空(JAL)をはじめとする国内航空会社の頭を悩ませる問題として2030年問題という課題が注目を集めています。これは2030年を目処にパイロット不足が顕著になることで生じる問題であり、大手航空会社のみならずローコストキャリア(LCC)各社もこの問題に対し対策を講じようとしています。今回は航空業界に対する影響度と各社の対応、今後の展望について考察を行います。


2030年問題とは何か、本当の原因は?

2030年問題とはパイロットの深刻な人材不足であり、2030年頃にベテラン機長クラスのパイロットが大量に退職するといわれています。国内航空会社のパイロット構成は40代以上が中心であり、なかでも経験豊富なベテランパイロットは50代が中心となっています。20~30代の若手パイロットは現在、訓練生や副機長ばかりであるため、このまま進むとベテラン機長が一斉に定年退職し、機長クラスが不在になってしまうのです。

この問題の原因は航空業界の構造的な問題があります。日本の航空会社には海外の航空会社のようにパイロットの派遣制度なく、他社からの中途採用もほぼありません。ANAやJALは訓練生を新卒採用し、自社で育成するという方針を採用しているのですが、パイロット一人を育成するコストが数億円と言われています。JAL破綻の背景を考慮するとこうしたコストをかけてパイロットを育成するという決断をとることができなかったため、結果的に人材不足に繋がってしまったのです。

LCC各社も2012年に国内に3社も誕生しましたが、それが可能となった背景にはJALをリストラされたパイロットを大量に採用できたことも大きな要因でした。現在はこうした人材もマーケットにはいないため、LCC各社は大手航空会社以上にパイロット確保が厳しくなると言われています。


LCC各社で起きている問題

LCCにおいてはこうしたパイロット不足の影響が早くも出てきています。関西空港を拠点とするピーチアビエーションでは、今年4月パイロットの病欠を理由に大量に欠航を発表したのです。ピーチアビエーションには52名の機長が在籍していたのですが、そのうち8名が病欠したことに加え、新規採用も順調にはいかなかったことから5~6月には448便の欠航が確定、7~10月の運航には1624便にも影響が出るといわれており、事業運営に大きな影響を与える事態になったのです。

この2年で路線や便数を急速に拡大させていた日本国内で運航するLCC各社にとっては、こうした慢性的なパイロット不足については中長期的な問題として特に打撃の大きい業態といえるでしょう。