太陽光発電は固定価格買取制度(以下、FIT制度)の支援もあって、これまで大幅に伸張したが、FIT制度はすでに、縮小ないし撤廃が日程に上っている。そうした中、米国で普及しているソーラーPPA(Power Purchase Agreement:電力購入契約)方式が、新たな太陽光発電導入を牽引するのではないかと注目されている。FITに頼らない太陽光発電導入モデルである。その第一号が早くも日本に登場した。第一号モデルの仕組みやその意義、今後の見通しなどを探ってみた。

PPAは第三者所有モデルともいわれている

太陽光発電,固定価格買取制度
(画像=PIXTA)

ソーラーPPAモデルは、第三者所有モデルともいわれ、電力会社や消費者以外の第三者(新電力や発電事業会社など)が、住宅や工場などの建物の屋根を借りて設備を設置する方式である。最近増えている屋根貸し(屋根借り)方式は、発電事業会社と建物所有者との賃貸契約が基本であるのに対し、PPAモデルは、発電事業会社と電力会社との電力販売契約が基本となる。

発電設備は、発電事業会社や新電力の所有となり、これらの事業者は保守・管理などのメンテナンスも行う。住宅などの建物所有者は、太陽光発電電力を利用できるが、使った分の電気代を発電事業会社に支払うことになる。また、余剰電力は、電力会社に売電され、売電収入は発電事業会社が得ることになる。こうしたモデルでは、住宅、工場などの建物所有者は、初期投資なしで、太陽光発電設備を利用でき、メンテナンスなどの必要もない。

米国の住宅用で6割以上が普及

ソーラーPPAは、FIT制度のない米国で普及しており、住宅用太陽光発電では、その6割以上がこの方式を採用しているという。日本で注目されるようになったのは、再エネ支援策であるFIT 制度が、太陽光発電などの再エネ発電の急拡大の原動力となった半面、そのツケともいえる国民の電気料金負担の増大をもたらしたからである。FIT制度は、太陽光発電電力を高い価格で電力会社に買い取ることを義務づけ、買取費用は再エネ賦課金の形で、電力料金に上乗せされる仕組みである。すなわち、国民全体の負担で、再エネ電力の普及を図ったわけである。

経済産業省によると、電気料金に上乗せされる再エネ賦課金は、2012年のFIT制度発足当初、月額50数円だったが、2017年度には月額700円近くに増大した。そのため、経産省は、FIT制度を全面的に見直し、今年4月に改正FIT法を施行した。改正法では、事業者、一般消費者を含め、制度からの自立を求め、太陽光発電については、発電電力の買取価格を、住宅用太陽光発電については2019年に家庭用電力料金並み(約24円/kWh)に引き下げるとともに、非住宅用では、2020年に発電コストを14円/kWhに、2030年には同7円/kWhにそれぞれ大幅に引き下げる目標を打ち出した。これらの価格水準は、電力卸取引市場における市場価格のレベルであり、事実上、FIT制度による売電メリットはなくなることになる。

ファブスコが導入第一号

国のこうした方針から、制度に頼らない太陽光発電の導入モデルが模索されており、その有力な選択肢の一つと見られるのが、ソーラーPPAモデルである。第一号として、国内で初めてそのモデルを導入したのは、福岡市のエネルギー関連事業会社、ファブスコである。同社はこのほど、オムロンおよびNTTスマイルエナジーと連携し、ソーラーPPA事業を開始した。同社の場合は、商業施設や自治体向けに、カーポート型太陽光発電設備を設置するケースであり、阿蘇市の災害時避難施設4ヵ所に合計出力48.6kWの設備を設置した。

設備はファブスコが開発し、発電事業者(PPA事業者)が、金融機関などから資金調達して設備を利用者(消費者)の敷地に設置する。発電事業者は電力会社との間で電力販売契約を結び、消費者の使った電気代は消費者から、電力会社に売電された余剰電力の代金は電力会社から受け取る。発電事業者にとっては、高価格での売電というFIT制度のメリットがなくなっても、新規の太陽光発電導入というビジネスチャンスが増える利点がある。ファブスコは今後、各地の金融機関の協力を得て、ソーラーPPAの全国展開を図る方針である。

住宅、非住宅用を含め既存の太陽光発電導入者にとっては、FITの買取期間(住宅用は10年、非住宅用は20年)が終了した時点で、売電は市場価格がベースとなるが、それまでの期間、高い価格での売電利益を得たことになる。課題は、新規の太陽光発電設備の導入者である。システム価格が低下したとはいえ、いぜん数百万円の初期投資が必要となる。ソーラーPPAモデルは、初期投資が不要のため、そうした新規導入者への朗報とも期待されている。(エネルギー・経済ジャーナリスト、西条誠)