日本企業の2016年7月期から9月期の対韓投資は1億9000万ドル(約216億円)で、同10月期から12月期は3億6000万ドルと大幅に増えた。2017年も増え続け、7月から9月期は8億7000万ドルに達し、2017年1月から10月の累計投資額は前年同期比90.2%増となっている。

日本企業の対韓投資は、グローバル企業向けのBtoBが多かったが、近年は韓国市場やアジア市場を見据えた進出が目立つようになり、韓国の地方自治体は誘致活動に積極的だ。

日本企業の誘致に取り組む韓国の自治体

韓国経済,日本企業
(画像=筆者撮影、日系企業視察団を出迎えるヘテ・カルビー原州文幕第2工場の関係者(2016年10月撮影))

蔚山(ウルサン)市の投資誘致団は、2017年12月5日から7日まで東京と大阪を訪問し、投資誘致説明会や投資面談等を行った。蔚山市の2017年1月から11月の海外からの投資申告は13件5億396万ドル(約568億円)で、前年通期の9件2億7300万ドルを大幅に上回っている。

韓国中部忠清北道も李始鍾(イ・シジョン)知事が2017年11月に日本を訪問し、400億ウォン規模の投資誘致や輸出契約などの成果を上げたと明らかにしている。新素材メーカーの環境経営総合研究所が200億円を投じて忠清北道忠州市にバイオプラスチック工場を建設する投資協約を締結し、道内6企業が生産する食品・化粧品・医療機器の輸出契約を成立させたという。

江原道は2016年に引き続いて、在韓日系企業を対象に投資団地の見学会を10月に実施している。企業担当者や日本の自治体から韓国に派遣されている職員が日系工場を視察した。

同11月14日には韓国産業通商資源部が主催した日本企業関係者との懇談会の席上で、同部の金栄三(キム・ヨンサム)貿易投資室長は、日本と韓国は強力な協力パートナーになると述べ、懇談会出席者も投資協力の有望な分野として、先端新素材、エネルギー、健康管理、ロボットなど挙げている。

日本企業が韓国に進出している背景

韓国の2016年の貿易依存度は、国際連合貿易開発会議のデータでは東アジアでは台湾の105.71%に次ぐ64.8%で、中国の30.62%、日本の24.76%の2倍超の水準となっている。

日本や中国などから部材を輸入し、韓国内で組み立てた完成品をアジアやアメリカ、欧州に輸出する。海外からの出資割合が50%を超える企業投資は税制優遇があり、2000年代にはサムスンやLG、現代などが部材を供給する日本企業との合弁工場を次々に建設した。

2010年代になると、韓国市場への販売を目的とする進出が加速する。カルビー <2229> は2011年に韓国菓子大手のヘテ製菓とヘテ・カルビーを設立。2014年に発売したハニーバターチップは大ヒットして、生産が追いつかなくなった。カルビーとヘテは2016年5月、江原道原州市に第2工場を建設し、商品不足は解消した。ハニーバターチップの人気は収束したが、ポテトチップスの市場は拡大しており、大手スーパーのPB(プライベートブランド)など、ポテトを原料とするさまざまなスナック菓子を生産している。

アジア向け製品の生産を目的に韓国投資を行う企業もある。芦森工業 <3526> は、自動車用シートベルトやエアバッグ、内装品を製造する工場を原州市に建設し、2016年から稼働している。韓国自動車メーカーに供給する部品も製造しているが、主力は日本国内の自動車工場向け製品で、将来はアジアへの供給も視野に入れている。

日本企業が韓国の地方都市に投資する最大のメリットはコストだ。外国人投資家向け企業団地は長期借地契約で地代が低く抑えられており、水道光熱費は日本のおよそ半分で、人件費も首都圏と比べて低い水準にある。

釜山港は利用コストが低く、日本から輸入した部品を組み立てて、完成品を輸出する際の関税等は免除される。日本など海外からの出資割合が51%以上の企業が指定地域に工場を建設すると、一定期間の法人税が最大100%減免されるインセンティブもある。

100%出資が可能でカントリーリスクは小さいうえ、物理的な距離が近い韓国は日本からのオペレーションも容易だ。

東南アジアに生産拠点を移すグローバル企業が多い中、韓国市場だけでなく、日本市場や中国市場など東アジアの生産拠点として韓国工場の建設を検討する日本企業が増えており、韓国地方自治体の日本企業誘致にかける期待は大きい。(佐々木和義、韓国在住CFP)