もし、介護状態になったら月にいくらかかるのでしょうか。公的な介護保険制度があるから、介護に備える特別なお金は必要ないと思っていませんか?自分が介護を受けるのは遠い話かもしれませんが、親の介護にはいつ直面してもおかしくないという方も多いはずです。この機会に、介護にかかるお金について確認しておきましょう。
公的な介護保険制度はどのくらい役に立つ?
公的な介護保険を利用するには、まず要介護認定を受けなければいけません。介護保険制度では、要介護度によって利用した介護サービスに対する支給限度額と自己負担額が決まっており、要介護度が高いほど支給限度額は大きくなる仕組みです。ただし、要介護度が高いと手間も人手もかかるため利用料自体が高くなることが多く、単純にたくさんサービスが受けられるとは限りません。
介護保険サービスを利用する際、原則では利用料の1割を自己負担するだけで済みますが、例えば、年金収入だけの単身者で年収280万円以上など、一定額以上の収入がある場合は2割負担になります。限度額を超えた分は全額自己負担になりますが、公的介護保険が介護費用の大きな助けになっていることは確かです。
介護にかかるお金はどのくらい?
介護にかかるお金は、「施設介護」と「在宅介護」とで大きく異なります。施設にもさまざまな種類がありますが、介護保険制度の「施設サービス」として位置づけられているものは、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)、介護老人保健施設(老健)、介護療養型医療施設(療養病床)の3種類です。
また、民間経営の有料老人ホーム、グループホーム、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)などもあり、費用も施設によって大きく異なります。そのため、今回は在宅介護にかかるお金について見ていきましょう。
在宅介護を行う場合、介護保険の「居宅サービス」や「地域密着サービス」を受けることができます。「居宅サービス」には、「訪問介護」「訪問看護」「訪問入浴介護」「通所介護」「短期入所」などがあります。また、「地域密着サービス」には、「地域密着型通所介護」「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」「夜間対応型訪問介護」「認知症対応型通所介護」などがあり、自治体によって提供しているサービスが異なります。
家計経済研究所の「在宅介護のお金と負担(2016年)」によると、在宅介護にかかる費用は月に5万円にもなるということです。そのうち、公的介護保険のサービスへの支出が1万6,000円、それ以外の支出が3万4,000円ということなので、介護保険だけで全ての介護費用が賄えるわけではなく、介護保険を使えない支出が意外と多いことがわかります。
また、同調査によると、認知症の程度が重くなると介護費用が増えています。介護保険サービス以外の主な支出は、おむつなどの介護用品が1万2,000円、医療費が6,000円、税・社会保険料が1万円です。介護用品については自治体によって助成が受けられるところもあり、例えば新宿区では65歳以上の要介護1以上の方に月7,000円を上限に、おむつにかかった費用の1割が助成されます。居住している自治体の制度を調べてみると良いでしょう。
介護にかかるお金に備える方法
在宅介護でも平均で月に5万円かかる介護費用は、ある程度は預貯金で対応できますが、持病がある場合には医療費もかさみますので、介護が長引くと経済的な負担も大きくなる可能性もあります。
介護費用がかさんだ場合、1ヵ月の介護サービス利用料が限度額を超えた場合に支給される「高額介護サービス制度」や、年間の医療費や介護費を合算して基準額以上になった場合に利用できる「高額医療・高額介護合算療養費制度」などがあります。このような公的な軽減制度があることも知った上で、介護費用が不安な場合は、介護に対応した民間の保険で備える方法もあります。
民間の保険には認知症に特化した保険や、健康上の不安や持病があっても入れる保険もありますので、介護が必要になった段階で慌てないように日頃から情報収集しておくと良いでしょう。(提供:保険見直しonline)