2017年10月より、「IT重説」(ITによる重要事項説明)を利用することができるようになりました。 このIT重説によって、これまで対面で行っていた不動産契約における重要説明についてインターネットを通じて行うことが可能になったのです。当面は賃貸契約のみに限られますが、すでにさまざまなメリットやデメリットが考えられ、不動産投資を行う物件のオーナーにも関わってくることが少なくありません。今回は、IT重説の実施により不動産投資にどのような影響が出るのかを詳しく見ていきましょう。

そもそも「重説」って何?

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(写真=Agenturfotografin/Shutterstock.com)

重説とは、重要事項説明のことで、不動産業界では略して呼ばれています。宅地建物取引業法では、宅地建物取引士が対面して物件の購入者や賃借人に重要事項説明書を説明することが義務付けられてきました。しかし、2013年に策定された国の「IT利活用の裾野拡大のための規制制度改革集中アクションプラン」では、ネットを活用した対面以外の方法が見直されました。その結果、「IT重説」が認められるようになったのです。2017年10月からのIT重説では、ひとまず賃貸契約のみが認められ、今後は不動産売買においても同様の仕組みの導入が実施される見通しです。

IT重説のメリットとデメリット

このIT重説の導入によって、不動産取引にはさまざまなメリットとデメリットが生じることになります。それぞれを整理して見ていきましょう。

・ IT重説のメリットは?
まず、店舗に行かなくてもいいというのは、賃借人である顧客にとっては大きなメリットです。たとえば、転勤などで遠隔地の物件の契約を行う際、インターネットがあれば自宅にいながら契約を完了することができます。また、IT重説を実施する場合は、あらかじめ重要事項説明書を送付しておくことが必要です。

そのため、先に書類を見てから説明を受けられる点も、顧客のメリットとして挙げられます。さらに、顧客が店舗に行かなくても契約できることから、契約までの期間が速まる可能性はあります。このことは、入居率を高めるきっかけにもなると考えられますので、不動産投資を行う物件オーナーにとってのメリットといえるでしょう。

・ IT重説のデメリットは?
物件を見ないまま契約を完了できてしまう点は、顧客にとってデメリットになる場合もあるでしょう。映像やVRなどを駆使することで、物件をリアルに近い状態で確認することができるようになれば、契約はネットで完結することができるようになります。ただ、目視で確認する場合とは違った印象を受ける可能性もあり、契約してから「こんなはずではなかった」ということにもなりかねません。特に、周辺環境や臭い、部屋の細かな瑕疵などが後で発見された場合には、トラブルに発展する可能性も考えられます。

ますます画像や映像が契約の決め手に

「ネットだけで契約を完結させて大丈夫なのか?」という不安はありますが、すでに自動車のオークションなどでは、事前の詳細な評価書類と映像などで高額な売買が行われています。不動産の場合も画像や映像によって正しく物件の情報を伝えることができれば、賃貸のみならず不動産売買でも十分に契約の決め手になる可能性はあるでしょう。しかし、これまで以上に画像や映像を通しての見栄えに気をつかい、人気が出やすい物件にしていく工夫が求められます。

不動産売買への導入で売買速度や件数にプラスに働く可能性も

IT重説は始まったばかりで、その効果はまだはっきりしていません。しかし、賃貸では、スマホなどを使って物件を探している利用者が多い傾向ですので、契約の後押しとしてプラスに働くことが期待されるでしょう。そして、今後の不動産売買にも同様の仕組みが導入されれば、これまで最低でも3ヵ月以上かかっていた不動産売買の契約までの時間が大幅に短縮されることとなります。このように、IT重説をはじめとしたITの活用が不動産投資に与える影響は、今後もさまざまな発展があることが予測されます。(提供:THE LIFES

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