「クラウドファンディング」をご存じでしょうか。一般的に寄付だと思われているクラウドファンディングですが、寄付だけではありません。立派な資産運用手段として、海外では広く普及しているのです。日本でも、東日本大震災のあった2011年ごろから被災地復興事業の資金調達を切っ掛けの1つとして、少しずつ業者が増えてきています。

今回は、まだまだ知らない人の多いクラウドファンディングの基本的な情報をご提供します。特に、資産運用先としてのクラウドファンディングがどのようなものなのか、利回りはどれぐらいなのか、気になる点についてご説明します。

Crowdfunding
(写真=Artur Szczybylo/Shutterstock.com)

リターンを得ることも可能!クラウドファンディングの3タイプ

クラウドファンディングの中には、株式や投資信託などの有価証券と同様にリターンを得られるタイプもあります。

そもそもクラウドファンディングとは、個人から広く薄く資金調達をする仕組みを指しています。Crowd(群衆)とFunding(資金調達)を合わせた造語です。事業の開始や社会的に意義のある取り組みなど、何らかの理由でお金を必要としている人が「プロジェクト」を立ち上げ、インターネット上で多くの人からお金を集めるアクションを起こします。

クラウドファンディングには、主に3つのタイプがあります。1つ目は、「寄付型」と呼ばれるものです。被災地や途上国の支援、研究費の支援など、社会的な意義の高い活動のプロジェクトに対してお金を出します。活動の進捗報告をチェックできる以外には、基本的にリターンは存在しません。NPOや民間団体が寄付を募るケースが多いとされています。

2つ目は「購入型」です。音楽やアニメ・映画の制作費、何かしらの製品の製作・開発費、セミナーやイベントなどの開催費など幅広い活動に対してお金を投じ、何かしらのリターンを「購入」する形となります。たとえば音楽の制作費であれば、ライブのチケットやCDなどがリターンに設定されるケースが一般的です。

最後の3つ目が「金融型(投資型)」です。寄付型と購入型が非投資型であるのに対し、金融型では投じたお金に対するリターンも主に金銭的なものが多くなっています。金融型のクラウドファンディングサイトを運営する場合は、行政に対して何らかの登録を行う必要があります。

クラウドファンディングの金融型で注目したい3つの方法

金融型(投資型)のクラウドファンディングは、さらに「融資型」「ファンド型(事業投資型)」「株式型」の三つに分かれています。

「融資型」は、「ソーシャルレンディング」とも呼ばれています。投資家から集めた資金を、クラウドファンディングサイト運営会社が資金調達したい企業や団体に出資し、返済された利益の一部を投資家へリターンとして分配します。運営会社は、「第2種金融商品取引業」と「貸金業」の登録を義務づけられています。太陽光やバイオマスなどといった自然エネルギー事業、不動産投資事業などのプロジェクトがあります。

「ファンド型」は、クラウドファンディングサイト運営会社が投資家から資金を集め、ファンドのように企業へ投資を行うものです。投資家は、リターンとして企業の売上の一部を金銭的な配当金として受け取ることができます。運営会社は、「第2種金融商品取引業」の登録が必要です。融資型と同じく、自然エネルギーや不動産など多様な分野のプロジェクトがあります。

最後の「株式型」は、クラウドファンディングサイトを通じて投資家が未上場企業の株式を購入するタイプのクラウドファンディングです。一社あたり最高1億円の株式を発行することができ、投資家は一人当たり50万円まで購入できます。2015年に金融商品取引法(金商法)が改正されたことで、日本でも解禁となりました。歴史は浅いのですが、2017年現在株式型クラウドファンディングを扱うサービス企業が存在しています。一般的な株式のように市場で売買することはできませんので、注意が必要です。

以上のように、個人からすると気軽に出資してリターンを狙えるクラウドファンディングがあることが分かります。一方のNPOや民間団体、自治体、企業などにとっては、資金調達先が広がるメリットがあります。

クラウドファンディングの利回りの目安とリスク

クラウドファンディングを介して資産運用を試みようとしている人からすると、気になるのは利回りとリスクでしょう。

代表的なクラウドファンディングサイトを見る限り、利回りは5~10%前後のことが多いと考えられます。たとえば、ソーシャルレンディングサイト大手のmaneoでは、5.0~8.0%の運用利回りを表示しています(これ以外の運用利回りの商品もあります)。クラウドバンクでも、実績平均利回り6.78%(2016年に運用終了したファンド実績値)を謳っています。海外案件には、10%を超えるような利回りのプロジェクトもあります。

このように考えると、利回りは一般的な金融商品と比べて、高い水準にあると言えるでしょう。利回りが高いのは魅力でもありますが、それだけリスクがあるということでもあります。元本割れや貸し倒れなど、投じたお金に対するリターンが事前予測を下回る可能性は常に存在します。あまりのめりこみすぎず、余剰資金で少しずつ始めるとともに、他のアセットにも資産を分散させるリスクマネジメントが求められます。(提供:Incomepress


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