12月25~29日の東京株式市場は軟調に推移した。クリスマス休暇で外国人投資家の動きが鈍く、全般に様子見ムードが広がった。

年間を通じてみると2017年の日経平均は6年連続で上昇、26年ぶりの高値を更新するなど強気主導の展開となった。好調な企業業績に加え、秋の総選挙で勝利した安倍政権の基盤安定への期待が株価を押し上げた。米国株をはじめとする世界的な株高も支援材料となったが、それでもPER(株価収益率)で見ると日本株は割安との指摘もあり、引き続き上値追いの展開となるか注目される。

東証マザーズ「年初来安値からの値上がり率」ランキング

それでは、今回は東証マザーズ市場の「年初来安値からの値上がり率」ランキングをみていこう。

(1)ディジタルメディアプロフェッショナル <3652> 557.91%
(2)グレイステクノロジー <6541> 520.00%
(3)中村超硬 <6166> 513.59%
(4)夢展望 <3185> 504.52%
(5)ジャパンエレベーターサービスHD <6544> 382.30%
(6)ASJ <2351> 356.55%
(7)串カツ田中 <3547> 336.88%
(8)インターネットインフィニティー <6545> 301.97%
(9)ベイカレント・コンサルティング <6532> 295.99%
(10)シンメンテホールディングス <6086> 289.94%

※銘柄、証券コード、上昇率の順。

株価指数の年間上昇率は日経平均が19.1%、東証マザーズ指数が30.7%となった。東証マザーズをはじめとする新興市場の魅力の一つは、この値動きの大きさにあるといえるだろう。

上記ランキングを業種別でみるとサービス業が5銘柄と半数を占めた。その他は情報・通信業と小売業が各2銘柄、機械が1銘柄だった。

ディジタルメディアプロフェッショナル、AI関連銘柄として人気化

今回は上記ランキングからディジタルメディアプロフェッショナル(以下DMP)、グレイステクノロジー、中村超硬を取り上げる。

DMPは研究開発型ファブレス半導体ベンダー。グラフィックス処理用半導体のハードや制御用ソフトのライセンスと、これらを活用したLSI開発を手掛ける。

DMPの株価は2017年1月から10月上旬まで、ざっと2000円台前半から4000円のボックス圏で推移していた。しかし、10月中旬発表の中間決算の黒字転換や通期利益予想の上方修正をきっかけに投資家の買いを集め、さらにAI(人工知能)関連銘柄としての注目度も高まり人気化に拍車をかけた。

11月30日、DMPはインテルFPGAを使用したAI/ディープラーニング(深層学習)技術でマクニカアルティマカンパニー、モルフォの2社との提携を開始したと発表した。DMPのプレスリリースによると、人工知能を実装する上で「エッジ・コンピューティング、一部のフォグ・コンピューティング向けに求められる柔軟性、リアルタイム性、高い処理能力、低消費電力が実現可能な深層学習の推論環境については市場に有効なソリューションが少なく、組み込み分野においての深層学習導入の阻害要因の1つになっている」と指摘。今回の提携により「実ビジネスでディープラーニングでの推論環境の導入が加速するものと確信している」と表明している。

AI関連は株式市場で関心の高い「旬のテーマ」ということもあり、DMPの年初来安値からの値上がり率は557.91%に達し、今回のランキングで1位となった。

グレイステクノロジー、「AIマニュアル」の開発を好感

グレイステクノロジーはマニュアルの作成や管理を主力とする専門会社。産業機械向けをはじめ、企業や学校の業務マニュアル作成のコンサルティングも手掛けている。

同社の技術面で注目されるのは従来の「読むマニュアル」「見るマニュアル」から脱却し、AIを活用した「誘導型マニュアル」の開発に取り組んでいる点だ。

2017年11月、工場のメンテナンス手順をAIが誘導する「AIマニュアル」の開発を伝える新聞報道が市場で話題を呼んだ。この新聞報道でグレイステクノロジー株は個人投資家などの買いを集め、12月1日に年初来高値となる1万760円を付けている。

中村超硬、ダイヤモンドワイヤ需要が好調

中村超硬は、太陽電池などの電子材料スライス加工に必要な製造工具であるダイヤモンドワイヤの開発・製造を手掛ける精密加工の機械メーカー。

近年、多結晶シリコンウエハー市場でダイヤモンドワイヤを使用する固定砥粒方式への移行が進んでいる。この影響で同社のダイヤモンドワイヤの販売量が増加しおり、2016年12月には沖縄に新工場を設立、さらに一部新聞報道によると今年春には沖縄工場の生産ラインを増設する計画とも伝えられている。(ZUU online 編集部)