昨日の海外時間には、コンスタンシECB副総裁が不適切なユーロの上昇に警鐘を鳴らしたうえ、「政策のフォワードガイダンスの変更を急がない」との見解を示したことでユーロが売られました。一時ユーロドルは1.22ドルの大台を割り込み、1.21968ドル(当社レート)まで下落しました。その後も、格付け会社S&PがECBは2019年後半まで利上げはしないと予想したことや、スペイン・カタルーニャ州議会が独立派議員を議長に選出したこともユーロ売りにつながり、ユーロドルは1.21778ドルまで安値を更新しました。

昨日の海外市場動向

FXプライム,高野やすのり,市況解説
(画像=PIXTA)

欧州時間では、ユーロ圏12月消費者物価指数は前年比+1.4%と速報値通りの内容に落ち着いたものの、上述した材料以外に、ノボトニー・オーストリア中銀総裁が「ユーロの上昇は有益でなく、レートを監視する必要がある」などと述べたこともあり、これまでのユーロ上昇からの調整に入るには十分な材料が揃う展開になりました。

NY時間では、米地区連銀経済報告(ベージュブック)が、米経済活動・物価・賃金が幅広く伸びているとの内容になりました。2.54%前半に伸び悩んでいた米10年国債利回りが12日以来の2.59%台乗せを示現しました。依然として今週の米政府機関閉鎖のリスクは意識されているものの、NYダウが322ドル高の26115.65ドルに急反発するなど、米主要株価指数は軒並み最高値を更新しました。米10年国債利回り、および株高の影響でドル円も110円半ば付近から111.343円まで上昇し、結局111.308円(当社レート)でこの日の取引を終了しました。

本日の東京時間では、ユーロドルが一時1.21658ドルまで下落したものの、1.2200ドル付近までじりじり値を戻しており、海外勢の参入待ちの地合いになっています。

FF金利先物市場の3月利上げの織り込みは73%で変わらずとなっています。

今日の予定

本日は、中国・第4四半期GDPを筆頭とした中国指標、トルコ中銀(TCMB)政策金利発表、南ア中銀政策金利発表、米・12月フィラデルフィア連銀景況指数、米・新規失業保険申請件数(前週分)などが予定されています。

今後の見通し

ユーロドルに関しては、昨日の東京市場午前の買い仕掛けでつけた2014年12月以来の高値1.23225ドルからの水準調整局面入りした感があり、本日は様子見の方がよさそうです。ベージュブックの内容を受け、米10年国債利回りは昨日引けの2.59%台からさらに上を目指す可能性があります。2.60%台を維持するようであれば、ドル円は111円後半まで続伸する可能性がありそうです。

本日はドル円ロングに妙味ありか

ユーロドルについては、一時的に1.2200ドルを下抜ける動きになっており、一旦は様子見とします。しかし、本日はドル円が111.00円付近までの押し目があるようであれば、十分な利幅が狙える地合いになっているため、ドル円のロングに妙味がありそうです。

(提供:FXプライムbyGMO)

高野やすのり
慶應義塾大学卒。チェース・マンハッタン銀行(現J.P.モルガン・チェース銀行)、スイス・ユニオン銀行(現UBS銀行)などでインターバンクディーラー業務等に従事。現、(株)FXプライムbyGMOチーフストラテジスト。