日本には、本州、北海道、四国 九州及び沖縄本島の5島のほかに、6,847島という数多くの離島が存在し、このうち有人島は400島以上、無人島は6,400島以上と、まだまだ人が住んでいない島が存在している。
最近では、有名タレントや芸人による無人島生活をテーマにしたテレビ番組もたびたび放映され、何もない島でゼロから生活を始める姿に興味を持つ人も増えている。便利すぎる普段の生活に何となく物足りなさを感じているのか。それとも、自宅とは別に不動産を所有してゆっくり余生を送りたいという夢のカタチなのか。いずれにせよ、無人島はそもそも購入できるのか、購入できるのであればどのくらいの価格なのか。また島の購入費以外にどのような費用がかかるのか見ていくこととする。
無人島の価格は2,000万円〜5億円程度!?
6,400島以上にもおよぶ日本の無人島は、国有地であったり、権利関係が複雑なものであったりするケースが多いが、その中には、不動産として市場に流通し、購入可能な島もあるという。実際に無人島の売買を取り扱う不動産会社は日本にもいくつか存在する。その物件紹介サイトを閲覧してみると実にさまざまな価格帯で無人島が販売されていることがわかる。
無人島の価格については、島の広さ、立地(本島との距離)、地形、ライフラインなどの整備状況、砂浜の面積などによって決定されているようで、2,000万円〜5億円程度で販売されている。ある程度造成され、上陸手段もあり、ライフラインの整備がされている無人島には数億の価格がついている。その一方で、手つかずのままの無人島は数千万円の価格で売り出されていることが多い。
ここで購入時の盲点がある。それは、流動性のない無人島の購入には、融資がつかずローンが組めないということだ。基本的には、購入時にキャッシュで資金を用意しておく必要がある。その点だけを考えると、手つかずの状態で、まだあまり整備のされていない数千万円代の無人島が最も購入しやすい価格帯となってくるだろう。
さらに無人島の価格以外に、以下の費用が必要となってくる。
・ 水道(井戸の掘削):100万〜200万円程度
※本島から近い場合などは、海底ポンプの方法もあるが、費用は高く非現実的。
・ ガス(キャンプ用の灯油バーナーなど):数万円程度
・ 電気(発電機などの光熱設備):50万〜100万円程度
※太陽光発電設備を整えるとなると300万円程度。
・ 桟橋を設置・建設する費用:200万円程度
・ 不動産取得税、固定資産税:数万円(面積によっても異なる)
・ 登記費用:10万円程度
・ 漁業組合への協力金:10万円程度(年間)
※初回は100万円程度の場合もある、漁業組合によって金額も異なる。
・ 住戸の建設費:500万円前後
無人島の固定資産税については土地の面積によっても異なるが、不動産としての評価は山林と同様、もしくはそれ以下のため、数万円程度となるだろう。水道については井戸を掘削することが可能な島もあるだろうし、発電を使わずガスの使える設備を持ち込む人もいる。後述するが、桟橋の建設には漁業組合の制限を受けることがほとんどであり、その認可費用等がプラスされると考えておいたほうがいいだろう。
これに加えて住戸を建設する費用がかかるが、建築会社に委託すると資材運搬費や人件費は本土よりも高くなるであろう。自分で建築することを目標にする人も多いため、500万円前後を目安にしておく。
そして概算で予算をまとめてみると、3,000万円程度で現金決済できるのであればどこかに無人島を購入できそうだというシミュレーションが立てられる。
一般的な不動産と違う無人島のルール
無人島を購入して自分だけの住処を作るためには、地元の協力が不可欠になるという。都会に住む人が地方に不動産を購入するIターンでもよく見られる現象であるが、無人島の場合は海に囲まれているため、そのエリアにある漁業組合との折衝が必須になってくる。
たとえば、島でのどかに釣りを楽しみたいと思っていても禁止されていたり、桟橋を建設する際に漁業組合の許可が必要になったりするのもこのことが関連している。このような場合は漁業組合に加入し、加入金及び協力金を納めることになるだろう。上陸手段として船を自分で用意する人は、本島側にも船を停泊する必要があるため、この費用も見ておくほうがいい。
このように、本島に一般の不動産を購入するときに考慮する間口や接道関連とは違うルールや費用がかかってくる。建築については規制を受けないことが一般的だが、島によっては都市計画区域外に指定されていて建築には一般的な規制がかかるものもある。
ここまで、無人島を購入した場合の価格やライフラインの整備などにかかる費用を見てきたが、いざ購入するとなると、そのハードルは一般の不動産と比べるとまだまだ高いといえる。
沖縄周辺に1日一人7,000円程度で探検やキャンプができる無人島があるようだ。また、東京近郊にも東京湾唯一の無人島「猿島」(神奈川県横須賀市所有)がある。神奈川県の京急線「横須賀中央」駅から徒歩15分の三笠桟橋から約10分の船旅で気軽に訪れることができ、探検や釣りができる。 購入して自分だけの島を持つという夢のカタチを実現する前に、まずはこのような手軽な無人島アクティビティを体験してみてはどうだろうか。(提供:The Watch)
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