このコーナーでは毎週原則木曜日に実施しているMarket Talk(動画セミナー)のサマリをお届けします。

2018年1月18日(木)Market TalkのSummary

世界の株式市場で過熱感が意識されているが、急落の可能性は?

急落はあってもおかしくはないが、その場合のポイントをいくつか述べる。

・急落してもまた戻ってくるだろう。あわてずに急落したところは買い場と考える。

・急落しないで日柄調整することも考えられる。日本株でいえば去年の9月から上がり始めた相場がいったんピークアウトしたのが11月だが、そこから23,000円を抜くことができない内に年を越した。

ただピークアウトはしたが、急激に上がってその分反動で急落した、というような調整をしたわけではない。むしろ押し目待ちに押し目なしで押したところを買ってくるから、23,000円の壁で上値は重いけれども、下値はじりじりと切りあがる三角持合いになってそれが年始とともに上放れて、水準が切りあがって24,000円近辺の攻防となっている。

確かに上値追いが続いてきたので上値が重くなるというケースはあるが、そのような調整を経て機が熟すとまた一段と上にいくという形の調整の仕方-過熱感を冷ますためのそのような日柄調整は十分あるのではないかと思う。

年内のNYダウの動きは?

年内に3万ドルにいくと思う。

今ロシアゲートが最大のリスクと言われているが、万が一トランプ弾劾、辞任ということになれば、マーケットは絶好の売りタイミングを待っているのでその瞬間は売られると思う。

しかしその後は急騰する可能性が十分あると考える。PERは割高とはいえないのではないか。20倍は許容の範囲内。金利が2.5%を超えてきているのでそういう意味ではリスクプレミアムが薄くなっているのは事実。株が割高なところまで買われ、金利も低いと思っていたのが上がってきた、ということで昔ほど株高をささえるバリュエーションは減ってはいる。

ただ、今のPERが正しいかというとそうでもないだろう。今のアメリカの株高がハイピッチになっている原因-税制改革がまだ株価におりこまれていないのではないかと考える。単純に法人税減税で最終利益が上がるという点は半分ぐらいは織り込んでいるだろうが、それに加えて海外マネーの還流による自社株買いの効果などを考えると今の20倍のPERは実際はそんなには高くない水準と思う。

NYダウの急伸と比べると日経平均はいまひとつの伸びです

アメリカの方が税制改革が決まったことなどの好材料が非常に多いのでどんどん上昇しているが、日本株も来週から決算発表が始まるので、ここで改めて日本企業の好決算を好感して水準を切り上げ、NYダウを追いかける形になると思う。

広木隆(ひろき・たかし)
マネックス証券 チーフ・ストラテジスト

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