ドル円予想レンジ109.80-111.70
「岸破聖太郎」-。これは懇意代議士が口にした永田町で囁かれる、ポスト安倍首相の候補者(岸田文雄氏、石破茂氏、野田聖子氏、河野太郎氏)の一字を抽出した合成名だ。但し、前出の代議士は「26年ぶりの株高だからね。(候補者による)アベノミクス全否定は難しいよ」と9月自民党総裁選も踏まえ安倍政権・アベノミクス継続の見方を示していた。
国内政治と日銀政策は不変
1/22召集の通常国会における安倍首相の「デフレ脱却」姿勢は言わずもがな、最大の焦点は憲法改正論議の行方となろう。政治信条を進めるうえでも株高基調を下落に転じさせるような失言・失策、次期日銀人事への言及は避けるだろう。
日銀は1/22-23に金融政策決定会合を開催するが、前号でも指摘したように、1/9の“オペ減額≒日銀が正常化に舵切り≒政府日銀の円高甘受”、とした市場の思惑を黒田総裁は一蹴し、緩和継続の方針を強調するとみられる。成長率見通しの上方修正を検討する一方で、2019年度頃に目標の2%程度に達するシナリオを示すだろう。つまり、日銀の緩和継続は「不変」であり、円高余地は限られる、ということだ。
ドル円を揺さぶるのは欧米の変数
では、円高圧力再燃とした憂いは一切無いのか。筆者はドル円を揺さぶる変数として、①1/25の欧州中銀(ECB)会合における量的緩和政策からの正常化への思惑、②独社会民主党とメルケル独首相率いるキリスト教民主・社会同盟との連立政権樹立の行方、③1/20で就任から2年目に突入するトランプ大統領の議会調整能力、と推考している。特にトランプ大統領に立ちはだかる議会動向には注意が必要だ。
確かに1/19には米下院は政府機関閉鎖を回避することを目的とした2/16までの暫定予算案を可決した。しかし議席数が共和51、民主49(無所属含)で拮抗する上院ではトランプ大統領と共和党の団結、民主党への協力要請は不可欠となる。欧米中銀が金融政策の正常化に向けて進むなかで日銀動向に注目が集まり易いが、政府・日銀が現姿勢を引っ込めるとは到底思えない。実際は欧米政治がドル円を揺さぶる可能性、と見立てている。
1/22週のドル円
上値焦点は1/18高値111.495、200日線(111.70近傍)・週足雲上限(111.733)、超えれば1/11高値111.88。日足一目均衡表雲の帯(112.594-787)、1/10高値112.80へのハードルは高そうだ。下値焦点は1/18安値110.18、月足ボリンジャー中心線109.841、9/15安値09.535。
武部力也
岡三オンライン証券 投資情報部長兼シニアストラテジスト