昨日の海外時間には、トランプ大統領が「最終的に私は強いドルを望んでいる」と述べたことからドルが買い戻されました。
昨日の海外市場動向
欧州時間、ECB理事会の結果待ちもあってユーロの利食い売りが優勢となって、ユーロドルは1.2450台から1.2390台まで、ユーロ円は135.50円台から135.00円台まで反落しました。ECBは予想通り金融政策の現状維持を発表しましたが、為替市場での反応はほとんどありませんでした。
NY時間にはいって、ドラギECB総裁の会見で「為替レートの最近のボラティリティーは不確実性の源であり、中期的な物価安定の見通しに及ぼし得る影響という点で監視の必要がある」とされましたが、直接的にユーロ高をけん制しなかったことや「経済指標、堅調な経済成長ペースを裏付けている」「インフレ率が2%弱の水準に収れんすることへの自信を深めている」とされたことなどからユーロ買いが強まって、ユーロドルは1.2530台まで、ユーロ円は136.20円台まで上昇しました。この間ドル円はユーロ円の買いにつられ109.10円台まで上昇しています。
その後再びユーロに利食い売りがはいって、ユーロドルは1.2460台まで反落したあともみ合いとなりました。一方ムニューシン米財務長官が「ドルについての私の昨日の発言は実際、極めて明瞭だったと考えていた」と述べたことや、日経平均先物が下落したことから円買いが優勢となって、ドル円は108.50円付近まで、ユーロ円は135.40円台まで下落しました。
NY時間午後に、トランプ大統領が「ドルはますます強くなるだろう、最終的に私は強いドルを望んでいる」と述べると、ドル買いが急速に強まってドル円は109.70円付近まで上昇し、ユーロドルは1.2360台まで下落しました。
NY時間引けから東京時間午前にかけては円売りが優勢となっています。
FF金利先物市場の3月利上げの織り込みは80%に上昇しました。
今日の予定
今日の海外時間には、英・第4四半期GDP(改定値)、米・第4四半期GDP/個人消費/GDP価格指数/コアPCE(速報値)、米・12月耐久財受注の発表が予定されています。
今後の見通し
注目されたドラギECB総裁の会見では、ユーロの変動に対して懸念が示されましたが、一方で、インフレ率の上昇への自信も述べられたことからユーロ買いが強まりました。もっともその後のトランプ大統領の「強いドルを望む」との発言でドル買いが強まってユーロはドラギ会見前の水準まで反落しています。米財務長官発言を受けた、ドル円などを含めた全般的なドル売りは修正されましたが、その前から続いているユーロ買いの流れは続いています。ユーロドルはドル売りの流れが収まったことで高値更新には少し時間がかかるかもしれませんが、今後も底堅い動きが続くと予想しています。
ユーロドルのロングを保有中
ユーロドルの買い持ち(コスト1.2340)を保持しています。損切りを1.2350割れに変更してさらなる上昇を待ちます。
(提供:FXプライムbyGMO)
高野やすのり
慶應義塾大学卒。チェース・マンハッタン銀行(現J.P.モルガン・チェース銀行)、スイス・ユニオン銀行(現UBS銀行)などでインターバンクディーラー業務等に従事。現、(株)FXプライムbyGMOチーフストラテジスト。