後払い決済
(画像=PIXTA)

商品購入後に代金を支払う「後払い決済」が、EC(=Eコマース、電子商取引)で浸透しつつある。ファーストリテイリング(9983)は昨年9月に、衣料品ブランド「ユニクロ」などのECサイトで後払い決済を導入。中国では、昨年の「独身の日」のセールで後払いによる売上が大きく貢献した。企業間のネット取引にも広がる中、ラクーン(3031)などの関連銘柄に関心が集まりそうだ。

日本最大の衣料品ECサイト「ゾゾタウン」のスタートトゥデイ(3092)は昨年8月、後払い決済の「ツケ払い」の利用者数が100万人を超えたと発表。2016年11月のサービス開始から1年に満たずに大台に乗せ、需要の大きさが証明された。その効果もあり、今3月期上期の商品取扱高は前年同期比38%増の1196億円に拡大した。

過去1年間のゾゾタウンを通じた商品購入者の数は上期末時点で696万人。単純比較はできないものの、ツケ払いの利用率は高いことが推測される。スタートトゥ向けの決済システムを手掛けるGMOペイメントゲートウェイ(=GMOPG、3769)では、後払いの市場の規模が20年に向け年率40%で成長する見通しを示している。

商品を受け取ってからコンビニなどで代金を支払う後払いは複雑な手続きを要さない上、クレジットカードを持っていない消費者の通販利用を促進している面もある。総務省によれば、ネットショッピングの利用率は既に全世代で7割を超えた。EC市場は国内だけでも16年に15兆円を突破し、拡大を続けている。

コンビニなどでの後払いサービスで最大手のネットプロテクションズ(東京都中央区)がネット通販業者百数十社を対象に実施した調査では、後払いを導入している企業のうち、代行サービスを活用している割合が17年度に初めて5割を上回った。それに絡む需要を取り込んでいる企業の一つがラクーンだ。

ラクーンは、中小企業向けにネット完結型の後払い決済サービス「ペイド」を展開する。同サービスに登録した小売店などバイヤーは、加盟する企業(サプライヤー)に対して、初回から後払い決済の取引が可能になる。サプライヤー側は未回収リスクを低減できる利点があり、昨年末時点の導入企業数は2637社と1年前と比べて26%増加した。

最近ではネットの枠を越え、ホームセンターのLIXILビバ(3564)と提携するなど実店舗向けも拡大。ベンチャー企業相手の決済サービスにもすそ野を広げつつある。株価上昇が一服した足元の押し目を好機ととらえたい。

関連銘柄はほかに、企業間決済に参入した家計簿アプリのマネーフォワード(=Mフォワード、3994・M)、ジャックス(8584)やデジタルガレージ(=Dガレージ、4819)も後払い決済を手掛ける。家賃債務保証のイントラスト(7191)もEコマース向けの後払いで保証サービスの拡大意欲を示す。(1月17日株式新聞掲載記事)

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