昨日の海外時間には、黒田日銀総裁が「2%のインフレ目標ないし物価安定目標の達成、ようやく目標に近い状況にあると思う」と述べたことから円買いが急速に強まりました。
金曜日の海外市場動向
欧州時間序盤、東京時間からの流れを引き継いでドル売りが優勢となってドル円は108.90円付近まで下落し、ユーロドルは1.2490台まで上昇しました。しかしNY時間にかけて、米長期金利が上昇したことからドル買いが優勢となって、ドル円は109.50円台まで上昇し、ユーロドルは1.2410台まで下落しました。
世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)で黒田日銀総裁が「2%のインフレ目標ないし物価安定目標の達成を非常に難しく、かつ時間のかかるものにした要因は数多くあるが、ようやく目標に近い状況にあると思う」と述べたことから、日銀の金融緩和姿勢が後退するとの思惑で円買いが急速に強まって、ドル円は108.20円台まで、ユーロ円は134.50円台まで下落しました。この間ユーロドルは1.2420台を中心としたもみ合いとなりました。
NY時間引け近くになって日銀報道官が「総裁は物価見通しについて見解を変えたたわけではない」と発表したことから円が一部売り戻され、ドル円は109.00円台まで、ユーロ円は135.40円台まで急反発しましたが、週末を控えてこの円売りは続かず、ドル円は108.70円付近、ユーロ円は135.00円付近でのもみ合いとなりました。この間ユーロドルは1.2440台から1.2400台まで下落しています。
週明けの東京時間にはややドル買い優勢となっています。
FF金利先物市場の3月利上げの織り込みは74%に低下しました。
今日の予定
今日の海外時間には、米・12月個人所得/個人支出、米・12月PCEコア・デフレータの発表が予定されています。
今後の見通し
このところの為替相場では、政府、中央銀行高官の発言がきっかけとなって動く事が多くなっています。今週は明日30日にトランプ米大統領が一般教書演説を行い、水曜日にFOMCが開催されます。一般教書演説では、TPPへの復帰を示唆するなどこのところ以前に比べるとやや態度が軟化している流れで、どういった内容になるのか、また先日ドル高を望んでいる、と発言したことでドルが買われたこともあって、そうした内容が含まれるのか?といった点も含め注目されます。またFOMCでは政策変更はない、と見られていますが、イエレンFRB議長最後のFOMCで会見もあることから、その内容も注目されるでしょう。
一旦手仕舞ったユーロドルの押し目買い
ユーロドルの買い持ち(コスト1.2340)を保持していましたが、欧州時間の上昇が前日の高値に届かなかったこと、週末を控えてポジション調整のリスクがあったことなどを考慮してNY時間に1.2430で手仕舞いました。引き続きユーロの上昇を見込んで、1.23台半ばでの押し目買いをしたいと考えています。
(提供:FXプライムbyGMO)
高野やすのり
慶應義塾大学卒。チェース・マンハッタン銀行(現J.P.モルガン・チェース銀行)、スイス・ユニオン銀行(現UBS銀行)などでインターバンクディーラー業務等に従事。現、(株)FXプライムbyGMOチーフストラテジスト。