群馬といえば、伊香保・草津などの温泉、世界遺産の富岡製糸場が非常に有名です。ですが、それ以外の見どころもたくさんあることをご存知でしょうか。特に、国の登録有形文化財「桐生市水道関係施設」や「わたらせ渓谷鉄道」など、歴史的にも貴重な土木・建築施設には目を見張るものがあります。また、群馬県みなかみ町は特徴的な形の「ダム」があることでも有名です。

今回は「大人の社会科見学」にもおすすめの群馬の土木・建築施設について紹介していきます。

ファン必見!さまざまな特徴を持つ群馬のダム

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(写真=PIXTA)

群馬県みなかみ町は利根川の源流に位置する町です。この町には4つのダムがあり、それぞれに特徴があることから見応えのある観光スポットにもなっています。1958年に完成した「藤原ダム」には奥州平泉の藤原一族の家が湖底に沈んでいるという逸話があり、日本史ファンでなくても興味を惹かれます。

そして、毎秒約30トンの点検放流で人気の「八木沢ダム」はアーチ式ダム、「奈良保ダム」はロックフィルダム、日本初の地下発電所を有する「須田貝ダム」は発電専用のダムなど、それぞれ個性的な見どころとしてファンに人気です。

群馬と埼玉の県境にある「下久保ダム」はL字型という珍しい形をしているところが特徴です。堤体の長さが605メートルと、コンクリートダムの中では日本一となっています。また、下久保ダムのダム湖「神流湖」は「日本のダム湖百選」にも選ばれており、トレッキングやバードウォッチングなど、自然と親しむのにもってこいの場所です。

エンターテインメント度も高い!建設中の「八ッ場ダム」

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(写真=PIXTA)

長野原町の「八ッ場ダム(やんばダム)」は2018年1月現在、関東で唯一の建設途中のダムです。こちらのダムでは一般の人向け、土木関係者向けなど、目的別に10本もの見学プランが用意されています。詳しく説明をしてくれる「コンシェルジュ」がいるところも他のダムにはない特徴でしょう。

そして、八ッ場ダムの魅力は他にもあります。ダムの見学だけでなく、夏にはホタル観賞、秋は紅葉、冬には樹氷が楽しめる見学プランまで用意されているのです。熱心なダムファンや土木の専門家だけでなく、家族連れや友達同士、カップルでも楽しめる観光スポットとなっています。

この見学会の参加は予約優先です。また人気のため、日によっては空きがない場合もあります。事前に八ッ場ダムのホームページで確認してみてください。

群馬で見ることができる日本の近代化遺産の数々

群馬には日本の近代化の歴史がうかがえる施設が多数残されています。一部ではありますが、紹介しましょう。

桐生市水道関係施設は1932年に竣工し、供給を開始しています。当時の建物や施設が現在でも稼働していることは驚きです。

先述の通り、この桐生市水道関係施設は国の登録有形文化財にも指定されています。鉄筋コンクリート造りやアールデコ調の照明器具、アスファルトの屋根など、当時流行した技術をふんだんに使って建てられた施設です。昭和初期の雰囲気を色濃く伝える建造物は非常に見応えがあるでしょう。

トロッコ列車で有名なわたらせ渓谷鉄道沿線でも近代化の歴史を見ることができます。足尾駅には日本一の鉱都「足尾銅山」が再現された博物館「足尾銅山観光」があり、足尾銅山の歴史や仕組みが紹介されています。

また、近くには足尾銅山の迎賓館として建てられた「古河掛水倶楽部」もあります。普段は古河機械金属の施設として利用されていますが、土・日・祝日には一般公開されています。鉱山があった当時に使われた施設の中に資料が展示されていますので、あわせて立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

日本でいちばん長かった「関越トンネル」のすごい技術とは?

1985年に開業した関越トンネルは、道路のトンネルとしては首都高速道路の山手トンネルに次ぐ日本第2位の長さです。山手トンネルが2015年に開業するまでの30年間、日本でいちばんの長さを誇っていました。

群馬と新潟にまたがる関越トンネルは谷川岳を貫いています。とても険しい山に造られただけあって非常に高度な技術を使って建設されました。特に気を使っているのが、換気システムです。関越トンネルは非常に長いため、トンネル内の換気が難しくなります。そこで、トンネル内で集塵を行い、換気をして戻すというシステムが採用されました。

とても長いトンネルだからこそ見ることができるシステムです。建設当時の技術者たちの努力を感じることができるのではないでしょうか。

群馬には土木・建築ファンならば一度は見ておきたい施設が多くあります。また、自然も豊かで四季を感じることができる場所も豊富です。温泉・世界遺産だけではない群馬も堪能してみてはいかがでしょうか。(提供:JIMOTOZINE)