日本磁器の代表的な存在の一つといえるのが、有田焼です。1616年に佐賀県有田町で初めて製造されてから約400年、有田焼はこれまで継承されていた技法を新たな形へと変化させ、現代人の生活に適応する様式へと進化しています。デザイン・機能ともに良質な有田焼は日本国内だけではなく海外からの人気も高く、中にははるばる海を越えてやってくるファンも。そんな、進化・発展を続ける有田焼の魅力について迫ります。

注目度の高い人気窯元

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(写真=PIXTA)

「ARITA PORCELAIN LAB」は、有田最大の規模を誇る工場でおよそ40名もの職人が日々上質な有田焼を作り続けている窯元です。日常的に使いたくなる大小さまざまなサイズの鉢、食卓にアクセントを加えたいときにぴったりの長角皿など、購入できる食器はどれもシンプルで飽きのこないデザインです。盛り付けた料理をさらに美味しく見せ、食卓をより一層華やかにする魅力も兼ね備えており、個人や飲食店はもちろんのこと、多くの有名ブランドとも取引があるそうです。徳利・飯碗・小皿セットなど多種多様な「ARITA PORCELAIN LAB」の有田焼は大切な方へのプレゼントにも最適です。

有田焼卸団地にある「KIHARA」では、古くから受け継がれてきた有田焼の伝統、人・技・品を将来へ継承すべく、現代のライフスタイルに順応できる商品を開発・販売しています。オンラインストアには、東京を代表する名物をあしらった有田焼「TOKYO ICON」、有田焼の技法を用いた温かみが感じられる「呉須染」「象嵌」といったバリエーション豊かなシリーズがラインナップ。素朴で繊細なキッチンツールから、縁起物をあしらった贈答向けの取皿セットまで、ありとあらゆる場面で使える品々が揃っています。

2017年7月、「KIHARA」は東京・渋谷に「KIHARA TOKYO」をオープン。品物を実際に購入できるショップと、有田焼を展示するギャラリーが併設されています。

日本とオランダの感性が光る新シリーズ

2012年、最大規模を誇る見本市「ミラノサローネ」にて日本人とオランダ人のデザイナーによる有田焼シリーズ「1616/Arita Japan」が発表されました。約400年にわたり紡がれてきた有田焼の伝統に新しさをプラスし、これからも生活の一部になり続けるであろう新・有田焼を次々と生み出しています。

柳原照弘氏による有田焼「スタンダード」では、新たな材料を使用し、現代社会における食文化に適した作品を製作しました。有田焼の持つ優美さが感じられるシンプルなフォルムで、用途が幅広いのが特徴です。

一方、ステファン・ショルテン氏とキャロル・バーイングス氏の2人が手掛けたシリーズ「カラーポーセリン」は、有田焼の隅々まで調べた結果を新たな形で解釈し、製造したという有田焼食器です。ところどころにヨーロッパ色がプラスされており、繊細な色合いやスタイリッシュなデザインなど、作品の至るところから和と洋が感じられます。淡く柔らかなカラーが食卓に華やかさをプラスしてくれるだけではなく、機能性にも優れた逸品です。

有田焼を手軽に楽しめるところも

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(写真=PIXTA)

有田町には、有田焼と食事を同時に楽しめるスポットもあります。

店内に並ぶ2,000客もの有田焼製コーヒーカップが目を引く「ギャラリー有田」。レストランでは有田焼の器に有田名物を盛りつけた、まさに有田づくしの御膳を堪能することができます。有田焼を販売するショップも併設されているので、食事を楽しんだ後は自分用またはプレゼント用の有田焼を購入するのもおすすめです。

有田に初めて誕生したコミュニティスペース「Fountain Mountain」は、築100年を超える古民家を改修したカフェです。リピーターの多いコーヒーや焼き菓子をはじめ、辛さの調節が可能なチキンカレーなどが味わえます。盛りつけた料理を美味しく見せるシンプルかつオシャレな食器も楽しめます。展示スペースには石けんやオリジナル雑貨など日常生活に取り入れたくなるアイテムに加え、日替わりの新鮮な地物野菜が並びます。今後は、窯元で焼き物を作り続けている職人さんをカフェに呼び、ワークショップを開催することも考えているそうです。

普段使いから贈答品までさまざまな用途に利用できる有田焼は、今後もさらなる進化を続けていくことが期待されます。歴史ある焼き物と聞くとなんとなく敷居が高いもののように感じてしまう人も、まずはギャラリーやカフェで気軽に有田焼に触れてみてはいかがでしょうか。お気に入りの窯元に出会えるかもしれません。(提供:JIMOTOZINE)