徳島の有名観光スポットで最もポピュラーなのは鳴門海峡の渦潮です。それ以外にもまだまだ見ておくべきポイントはあるのですが、徳島県民以外にはあまり知られていないものが多くあるようです。徳島の見どころは海だけじゃない!有名観光スポットよりも楽しめる面白スポットを紹介します。

街中、狸だらけの謎

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(写真=PIXTA)

徳島に行くと、あちらこちらで狸をモチーフにした石像を見かけます。道路の縁石には阿波踊りをする狸の姿、ポストの上に立つ狸、小松島ステーションパークでは世界一の大きさとされる「金長たぬき」の像が設置されており、地元住民にも人気のスポットになっています。さらに街から外れ山奥へ進むと、「祖谷美人」という蕎麦屋で、小便小僧ならぬ「小便狸」の姿も見られます。

なぜ徳島は「狸」だらけなのでしょうか?その昔「阿波国」と呼ばれたこの地方では、「阿波狸合戦」という狸たちの戦いを描いた伝説が語り継がれていました。この伝説に登場した狸たちを英霊とし、それぞれに祠を作り祀ったため、徳島では狸を祀る祠も数多くあります。

この伝説を町おこしのテーマにしようと考えついたのが、地域の魅力を再発見しようと取り組んでいた有志の集まりである「藤川谷の会」のメンバーです。2008年には、同会が「四国の秘境山城・大歩危妖怪村」を設立。以来、さまざまなイベントで三好市を盛り上げてきました。どこへいっても狸だらけの徳島で、いろいろな狸との出会いを求めて歩きまわるのも楽しそうです。

「奥祖谷二重かずら橋」で絶景とスリルを楽しむ

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(写真=PIXTA)

徳島で有名なつり橋に「祖谷かずら橋」がありますが、実はその地点から少し離れた場所に「奥祖谷二重かずら橋」というつり橋がかけられています。

祖谷かずら橋は有名なスポットのため、観光シーズンは多くの人でにぎわい、つり橋と景観をのんびり楽しむのが難しい状況です。つり橋ならではの情緒を楽しみたいのなら、奥祖谷二重かずら橋に行きましょう。

実はどちらの橋も、屋島の合戦に敗れ祖谷に落ち延びた平家が作ったものです。戦に備え、馬場訓練を行う場所へ向かうため、当時は何十本ものかずら橋をかけていたそうです。

祖谷かずら橋と比べて奥祖谷は橋がコンパクトなのですが、男橋と女橋と呼ばれる2本の橋と、野猿という原始的な人力ロープウェイを体験することができます。

山奥に突如現れる「カカシ村」の謎

三好市東祖谷には、「天空の村・カカシの里」と呼ばれるカカシだらけの地区が存在しています。この村にいるカカシには、「カカシ村基本台帳」が用意されており、本当の人のように村人たちから愛されています。一歩村に足を踏み入れると、道端、バス停、民家の軒先、校庭、ありとあらゆる場所でカカシを見ることができます。

元は鳥獣被害対策として村に住む女性が作り始めたリアルなカカシは、現在およそ180体。それに対し現在の村民は30人弱、小さな子どももおらず、学校は廃校となっています。しかし校舎の中ではカカシの子どもたちが授業を受け、カカシの父兄が授業参観をしている姿をみることができます。

本来であれば、一帯に寂しい風景が広がっていたであろう村が、カカシによって活気あふれる「かつての村」を映し出します。

この村でもう1つ注目したいのは、「海外からの観光客を多く見かける」ことです。2014年、1人のドイツ人がこの村の動画を公開し、海外で大ヒットしたことがきっかけで国外でも有名になりました。

村民が自主的に始めた行動が実を結び、多くの人の心を動かしその地に足を向かわせる。行政ではなく住民が中心となって始めたこの取り組みは、地方創生を掲げる市町村にとって手本となる事例だといえるでしょう。(提供:JIMOTOZINE)